世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

虫ききの会

2006年08月25日 23時56分33秒 | Weblog
仕事をそそくさと終え、東向島の向島百花園で道草をした。
道草といっても、勤務地からはけっこう離れている。

東向島といえば、永井荷風の小説でよく出てくる「玉ノ井」。
東向島駅に上陸した途端、興奮して鼻息が荒くなってしまった。
街自体は小路が多く、なんとも下町ちっくな雰囲気だった。

虫ききの会とは、江戸時代から同園で行われてきた伝統のある行事。
園内にリンリン鳴く虫を放ち、その風情を味わうというもの。

20時少し前、入口に到着。
鬱蒼と茂った園内に入らずとも、リンリンやチンチロリン…などの大合唱が聴こえてくる。
入口近くには虫たちがケースに入れられ、展示されていた。
そこで、キリギリスを見て仰天!
けっこうビッグサイズでグロかった…。
童話「アリとキリギリス」で怠け者の役を演じさせられているキリギリスだが、けっこう良い音色を響かせているではないか。
こんなに綺麗な音を奏でられるんなら、蟻のようにせこせこ生きるよりも、そりゃ楽しく生きたいよなぁ。

絵行灯が灯る園内を散策した。
幻想的なのだが、かなりの胆だめし的世界でもある。
虫の音色も、心なしかホラー的要素を助長するものに思えてきた。
葉っぱが腕をかすめる度に「あぎゃん!」と、意味不明な小さな悲鳴をあげてしまう。
草むらに隠れている池に落ちそうになるハプニングもあったが、なんとか一周できた。

葛の蔦が絡まるあずまやで一休みした。
頭上には風鈴と絵行灯。
目を瞑り、仄かな光と風鈴と虫の音に身を委ねた。
…嗚呼、涼しい。
どうやら、せっかちな秋のそよ風もやって来たようだ。
クーラーがなくても、知恵や心を使って涼をゲットしていた江戸時代の人々を思った。


写真は絵行灯。
秋らしい。
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