世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

うさくみゃ

2008年04月24日 22時14分40秒 | Weblog
《本当の悪は――罪は――。愛する人を悲しませることだ。》

昨夜、ブログを更新したあと、一気に最後まで読んだ嶽本野ばら先生の小説、「タイマ」 。(ネタバレあり)


最後の20頁では、1行読む度に涙が溢れ、1頁に1つぐらい、私がこれから生きる上で糧になるような言葉(野ばら節)が綴られていた。

大麻を使用して捕まった「僕」。
仮釈放された「僕」を待ち受けていたのは、恋人あい(ロリータでヌードダンサー)の悲惨な姿だった。

「先生だけ、ズルいんだもん!」

ラリラリになりながら、そう言うあい。

あいは、「僕」が捕まって連絡が取れない間に覚醒剤中毒になってしまっていたのだ(あいは、大麻と覚醒剤の違いがわからないで、とりあえず、覚醒剤に手を出した)。

やっと再会できたのに、今度はあいが捕まってしまう。

この辺からじわりじわり、涙腺が緩みっぱなし。

社会的見地からの薬物使用禁止の理由としての「自分をボロボロにしてしまう」「中毒になると他人に危害を加える可能性がある」「薬物は暴力団の資金源として活用される」といった事は重要なことだ。
しかしそれ以上に、「愛する者を悲しませる」という罪ほどの罪悪がこの世にあるだろうか。

嶽本先生は、本作品を書くことで、背負った罪を自分の一部だとして認めた。
少なくとも私にはそう思える。

逃げずに、自分の罪を認めるということはとても勇気がいることだ。
反省文ならいくらでも書けたであろう。
しかし、それ以上に、彼はあの事件で得た新たな視線を事件前と同様、巧みな文回りと緻密な伏線で描いた。


小説で泣いたのは

「ツ、イ、ラ、ク」(姫野カオルコ先生)
「花」(林真理子先生)
に引き続き、本作品が三冊目。


最後の頁にポストカードが付いていた。
「うさくみゃ」といって、作中にも出てきた。
BABY,THE STARS SHINE BRIGHT(ロリータさん御用達のメゾン)のキャラクターらしい。

うさぎみみを被ったクマとのこと。

可愛い。

このリュックが販売されているんだが、実に欲しい。
でも、躊躇してしまう三十路の私。

あと10年若くて、あいのように二十歳だったら…確実に購入していたであろうが。
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でも、でも…。

2008年04月23日 23時45分14秒 | Weblog
●●●ィ~(部長)から、制服の件で指令が下った。

ほぼ全店が絡む案件である。
●●●ィ~の斬新なアイデアを実現化せよとのこと。

もう何度も同じパターンの仕事をしてきたのに、なかなかどうして。
不安ばかりが募る。

そんな私に母は
「頑張りなさい」
と言う。

最近の電話…楽しいことを話したいのに、私の口からは「疲れた」しか発せられなくて、本当に申し訳ないと思っていた。

そんな後ろめたさが苛立ちとなり、
「頑張れって、何を?」
と言いたくなるが、言うのも面倒臭いので辞めた。

「そうだね」
とだけ言った。

励ましてくれる母には大いに感謝をしている。

でも、ときどき、物凄く息苦しさを感じてしまう…。


弾力性を失った心。
それでも何とか、周囲に調和をさせて、騙し騙し生きている。

「何を頑張れば良いのか」なんて、母に訊いても不毛だということは分かっている。

でも、
でも…。

この苛立ちは、仕事で昇華させるしかないのだろうか。
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現役

2008年04月22日 21時41分02秒 | Weblog
朝から膀胱に違和感を覚えていた。
ああ、アレね…的痛み。

ってなわけで、前場終了後に内科へ行った。
私ぐらいに膀胱炎がクセになると、もうね、膀胱炎の達人なわけ。

膀胱炎大会関東甲信越ブロック代表にもなれちゃうわけ。


先月の膀胱炎は、放置していたために腎于炎になりかけた。
今回は早めが良いと思ったので、私用外出を●●●ィ~(部長)に申し出てみた。

「うちの妻もなったことありますよ!あの時はワタシが深夜に薬局まで走りまして…はっはっは!」
なんてジェントルなんだろう、●●●ィ~は。

うちの母が風疹になったとき、父は飲み仲間を深夜の我が家に連れてきて、寝ている母に「起きて」とか懇願していたのに…。そのあと、いつもの夫婦喧嘩に発展したんだった。

そんなことを思いながら通院。

ぽかぽか陽気が気持ちが良い。
民家の軒先に、やまぶきの花が揺れていた。

世界はたまに美しいものを見せてくれ、嫌なことをも忘れさせてくれる。

いつもの病院が休みだったので、同じような規模の町医者に行った。

すげー激混み。

時計は12時00分を指した。

いつも12時00分になると「煙草が吸える」と刷り込まれている私の脳は必然的にニコチンを欲する。
まだ30分ぐらい待ちそうな雰囲気。
一度会社に帰って一服しようかと思ったその時、看護婦さんに採尿を促された。
そしてまた待つ。
苛々MAX。

12時30分頃、やっと診察。

おっさん医師曰く、どうやらやっぱり膀胱炎らしい。
蛋白と血尿のいつものコラボ。

「腟炎の痛みと膀胱炎の痛みは似ています。一度、産婦人科にも行った方が宜しいかと」

と言われた。

腟炎とは盲点であり、また自分には縁の無い病であるはずだ。

ヤニ切れで頭が朦朧としていた私は

「現役ではありませんので」

と答えていた…。

何の現役なんだYO!?

パキシルの副作用に性欲減退というのがあるが、私の場合、元々ないのに更なる副作用のいたずらで、性欲どころか殿方に萌えることも少なくなってしまった。
そんな私が腟炎を疑われるとは。こはいかに。

今服用している薬を訊かれた。
パキシル、ソラナックス、マイスリー、デパス、パリエット、大建中湯。

おっさん医師は少し考えて、クラビット錠を処方してくれた。
個人的にはフロモックスが好きなんだが。

膀胱炎は、疲れると再発しやすいらしい。
先週の祖母の葬式とかで、きっと疲労が蓄積されているんだろう。

水分を多目に採り、今宵は早く床に就こうと思う。

現役でない私は、クマたちの御胸に抱かれて。
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輝くのです★

2008年04月21日 22時47分19秒 | Weblog
定時上がり★

本日の業務は溜まった伝票の整理。
こういう仕事をすると、改めて自分がOLだと実感する。


窓の外には、麗らかな日差し。
日替わり弁当の焼き肉も美味しかったし、髪はさらさらだし、なんとも穏やかな一日であった。


今日はスマスマといふ番組で、小室さんが出るとのことで楽しみにしていた。

キーボードに包囲され、穏やかな表情で演奏する彼を見て、胸が熱くなった。

気付いたら
「てっちゃ~ん!好きなのです!」
と叫ぶ私がいた。
(あ、ちなみに「なのです」とは高校時代の数学教師・ハルエの口癖。「ロガリズムなのです」とか言っていた。最近嶽本先生の作品に出てくる乙女の口調がハルエに似ていることに気づいた。ハルエは乙女だったんだろうか…)


閑話休題。

かれこれ人生の半分を「好きな芸能人は?」と訊かれて条件反射のように「小室哲哉」と答えてきた。
長年の愛を裏切らない今日も素敵だった彼の姿は、今宵、私に安らかな眠りを与えるでせう。

昨夜、小学校からの友達わたに「肌の手入れに精製水が良い」と教えてもらった。
彼女は化粧品業界にいたので、美容についていつもホットな情報を教えてくれる。

帰りに、精製水をマツキヨでお買い上げ~♪

化粧水をつける前に精製水でパッティングすると良いらしい。
彼女には以前、ハンドクリームを寝る前の顔にベタベタつけると良いと教わった。どんなハンドクリームでも良いらしい。
以来、私は2年ぐらい、アトリックスを塗りまくった油田のような顔面をして寝ている。
効果は絶大で、不眠症&煙草1日2箱なのに、肌だけはやたら元気だ。

昨日、縮毛矯正をしたので、大島椿油のつやつやスプレーもマツキヨにて購入~♪

明日の私は、きっと輝いているはず、なのです。
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哀愁の縮毛矯正財形

2008年04月20日 22時53分37秒 | Weblog
縮毛矯正をしに池袋の美容院へ行く。

私は密かに縮毛矯正財形をしている。
毎月5千円を貯めると、約半年でちょうど縮毛矯正の金額になる。半年経つと髪の根本の癖が目立ち始めて収拾がつかなくなる。良いタイミングだと改めて思う。
満期になった貯金を握りしめ、るんるん気分で家を出る。

縮毛強制をすると、言わずもがな、髪がさらさらになる。
この快感を一度知ってしまった者(癖毛持ち)ならば、もう容易には辞められないはずだ。
中毒性の高い美容技術の餌食になった私。
縮毛強制トルネードはいつまで続くのだろうか。

さて、今日もマイミクであるセッキーさんにお世話になった。
美容院に行く前、クリーニング店に寄り、つい話し込んでしまった。なので入店が遅くなってしまった。

縮毛矯正とは
1液を塗る→放置→洗い流す→まっすぐにブロー&アイロン(1時間)→2液を塗る→放置→流す
という行程を経る。
最後、散髪をしておしまいなんだが今日は奮発してトリートメントをしたので合計4時間もかかった。
…美しくなるのも大変だ。

2月に後輩若君の結婚式があり、そのときのアップヘアが良かったと感想を述べると、セッキー殿は

「結っている最中から、ピンが浮いてくるんだよねー」
と告白した。

どんだけ多くて剛毛なんだ、私の髪…。
縮毛矯正中は、放置される時間が長い。
普段ならば渡された雑誌を読んで社会勉強をするんだが、今日は嶽本野ばら先生の「タイマ」の展開が気になっていたのでそれを持参して席に着いた。

「僕」とあいの会話文が好き。
哀愁のある世界観を共有できる二人。
ああいう会話、殿方としてみたいなあ。
しかし。

現実は、頭に液を塗られ、更にサランラップを巻かれて放置されている…鏡に映る己の姿だったりする…。

散髪をする前、セッキー殿に
「向かって左側の髪が少ないんだけど」
と指摘された。
どうやら右利きの私のブロー癖が原因なのではないか?とのこと。
毎朝、引きちぎるようにガンガンとブローするので、きっと傷んで途中で切れてしまったんだろう。可愛そうに…。

剛毛なのに繊細…まるで私のアイデンティティを象徴してるではないか。

毛量を少し減らして、毛先を整えてもらった。長さは変わらず。腰の上あたり。

セッキー殿のカット技術は素晴らしい。
彼の作る、横顔にかかる前髪の流れ具合が私は好きだ。
かき上げたときに絶妙な感じになるんである。

会計のとき。
いかにも「貯金箱から持ってきました」という様子の千円札の束が悲しい。
そう、毎月の財形を千円札で行っていたために…。

「たまにそういうお客さん、いるよ」
と言ってくれるセッキー殿。
彼の技術も好きだが、優しい人柄も好きだ。
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クマ子さんの役割

2008年04月20日 22時49分06秒 | Weblog
実家からパクってきた木彫りのクマ子さん。

彼女の、額から鼻梁を形作るラインは、相当な美しさである。
高貴な性格がゆえに、他のクマたちはあまり彼女には近づかない。

私が帰宅して、まず最初にすること…それは身に付けているアクセサリーをはずすことだ。

指輪、イヤリング、時計、ブレスレット。

最後にネックレスをはずして、クマ子さんの首にかける。

クマ子さんは、ネックレスの見張り番。
クマ子さんと鑑定書付ダイヤプチネックレス。
まじまじと眺めると、かなりシュールな光景だと気づく。

なかなか似合うよ。
クマ子さん。
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ネイルアート

2008年04月19日 22時56分23秒 | Weblog
ピンぼけしてるが、先輩のネイルアート。

少しラメっていて、爪先に辛口のネイビーブルー。

素敵!
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種を撒く人

2008年04月19日 22時55分49秒 | Weblog
会社の先輩のネールアートに感動した!
自分では面倒なので、ネイルサロンで施してしるらしい。
金壱万円也。
いーなー。
私もしたいなー。

そういえば、高校時代からの友達ちんぴ☆殿から結婚式の招待状が届いた!

高校時代「ムー」といふ雑誌を貸してくれたジェントルで思慮深い殿方である。
同人活動や写真や登山など、彼は色々な能力を持っていて、スゴいと思う。

「生まれ変わるんなら?」
というバトンの質問に
「また日本人のおたく」
と答えていた。

そんな彼が結婚!

そうだ、彼の結婚式にはネイルアートをして行こう。

こうやって、楽しみの種を前へ前へ撒こうと思う。

ゴッホの絵に「種を撒く人」っていうのがあるが、あれみたいに。

そろそろ夏期休暇プランも詰めて…。

ああ、楽しみの種、大量散布だ!

自己評価

2008年04月19日 22時52分19秒 | Weblog
心療内科デー。

前回の悪夢のような採血から早2週間。

結果は普通。
安心。

ココロの方は…。
最近、撃沈。
今日の診察中、話ながら泣いてしまった。

クマ医師には
「考え方のクセをなおしましょう」
と言われた。

首を立てに振れない私。だってどうしていいんだか分からないんだもの。

「あなたはスマートな人ですよ。自己評価が低すぎなんです。自信を持ってください」

最後は懇願された。

その言葉で、視線を自分の足の爪先からクマ医師に向けてみた。

私を見ている。

彼とはもうすぐ2年の付き合いになる。
私のココロが晴れていても雨の日でも、ずっとクマの置物のように私を見守ってくれていた。

涙を拭いて、次回予約。GWの都合で、平日に予約を入れた。
会計。
前回採血してくれた青年に
「この前採血したところ、青くなりませんでしたか?」
と言われた。

笑いながら
「大丈夫でしたわ。お騒がせしまして。うふ」
って微笑んだ。

微笑みで万事を乗りきるのさ!
ビバ・私。


なんだか知らないけど、生理のときって甘いものが食べたくなる。

帰りに喫茶店でチーズケーキを食した。
甘酸っぱいしっとりとしたチーズケーキとほろ苦い珈琲を片手に、自己評価アップ作戦会議だ!
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平穏と幻想の日々

2008年04月19日 02時14分12秒 | Weblog
目覚めたらクマになれていたら良いのにって毎晩思う。

マイスリーとデパスによる意識の強制終了。

その寸前に、いつもそう期待している。

期待は朝日が昇る頃、絶望に変わっている。
毎朝毎朝。
絶望におはようと挨拶をする。
クマにはなれなかったので、出社をする。
そんな毎日。


さて、祖母の訃報から始まった今週が終了した。

疲労困憊。

ついでに生理到来。
鎮痛剤を大量に飲み、痛みを防衛。
毎月「早く閉経できますように」ってこんなにも強く懇願しているのに、必ずやってくる。
少しは学習してほしいものである。
自分の臓器ながら、子宮が恨めしい。
苛々するし、痛いし、ダルいし。

クマ云々というより、人間の雌に属している自分にも絶望。

今日のニュースでスティールパートナーズがブルドックの全株を売却したと知った。
ブルドックの買収防衛策が最高裁に認められたようで。
TOBや買収とかって、ドラマや小説の中の話だって思っていたんだが、…実際にはそうでもないらしい…。


あ、今日はショッキングなことがあった。
●●●ィ~(部長)に管理能力の欠如を指摘された。
業者と会社のパイプラインを担う能力、自分にはないのかなって凹んだ。

「まあ、起きてしまったことは仕方がありません。でもね、これは大変なことなんですよ」
と痛烈な一言。

猛省なり。
そして、また絶望。
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修行

2008年04月17日 22時50分25秒 | Weblog
祖母は49日ホリデーへ。
49日間の、煩悩をも忘れる辛い修行の旅に行ったらしい。

私は普通に仕事。
昨日までの疲れが一気に噴出。
経費分析をしていたんだが、数字が頭に入らない。

私がいない間になんか大変なことが起こったらしい。
その書類に目を通すが、文字も頭に入らない。

生きていても修行、死んでも修行。


画像は生前の祖母と吉熊のセッション。
「おや?可愛いらしいこと」
と言ってくれた祖母の声が耳に焼き付いている。

告別式

2008年04月17日 22時48分30秒 | Weblog
4/16

告別式。

朝、美容室から帰ってきた母は極妻みたいなアップにしていた。
父は朝風呂に入り、裸でウロウロしていた。
突っ込むと
「やーだ」
と恥ずかしがるので少し気持ちが悪い。

慌ただしい朝だった。

告別式は400人近くの人が来ていた。
市長や銀行関係者が多かっただろうか。

おばちゃんに、最後のお別れをした。

たくさんの花に囲まれた棺の中のおばちゃんに、
「亮子、頑張っからね!」
と言った。
そして涙が枯れるぐらい泣いた。

マイクロバスに乗り、火葬場へ。
火葬場の物々しい雰囲気が前から駄目だ。
着いた途端に貧血を起こす。

ずらりと並んだ番号ランプの下に扉。
25年前、祖父が亡くなったとき、5歳だった私は、これはエレベーターの扉だと思っていた。
「ああ、これに乗って天国へ行くんだ」
と真面目に信じていたんだっけ。

棺を乗せた台車が無機質な音をたてながら扉の向こうに入っていく。
静かなのに、でもあらゆる感情も否定してしまうかのような絶対的な動きに乗せられ、祖母は扉のあちらに消えていった。

さようなら
さようなら
おばちゃん
さようなら

火葬が終わるまで、親戚の話に打ち解けられない私は、外の喫煙所で煙草を吸っていた。
目の前の煙草の煙と祖母が焼かれている際に出る煙(実際には無煙)がリンクして、なんともこうセンチメンタルな気分になっていた。

「よ!」

振り返ると叔父が立っていた。
足尾在住の彼の話は本当に楽しい。

「足尾にはクマがいるんですか?」
という質問をしてみた。
「ああ、いるよ。オジさんも何回もクマに会ったよ。亮ちゃんはクマ、好きなんけ?」

ええ。
好きですとも!
足尾、いきてぇ~!
矢継ぎ早にクマについて質問をし、彼は不思議な顔をしていた。


祖母の収骨。
95歳とは思えぬ骨太な残りっぷり。
骨壺に入りきれず、職員にばきばき折られていた!
ああ、無惨。
複雑骨折極まりない。

入れ歯の金属や妹が入れた100円玉が丸焦げになって残っていて、焼かれた際の温度を考えてしまう。
熱かっただろうに…。
お骨になった祖母と一緒にマイクロバスに乗って葬儀場に戻る。

隣の妹はだんだん黙り込む。

ああ、そうだよね。
あのおばちゃんが骨になっちゃったんだもの。
寂しいよね。

ん…?
何…?
おしっこに行きたいって、今、言った?
おしっこ?
我慢できないの?

…ということで、我々親族を乗せたマイクロバスは、途中停車し、妹の放尿に付き合った。
後ろのおっさんが
「あの子、どうしたんだべ?途中で気分悪くなったんだべか?」
と心配していた。

いえ、まさかの放尿ですから。


葬儀場に戻り、初七日の法要と坊さんの話を聞いて精進落とし。

祖母には孫13人と曾孫13人がいる。

何人かの従兄弟は婚約者を連れてきていて、いずれも歳が近く、しかもmixiをやっているので話が盛り上がった。
また、従兄弟の息子ソラ君(6歳)と仲良くなった。
子供嫌いな私が、彼と遊んでいた!
CNNで放送されるべき世界的なNEWSである。

「ソラくんさー、ところでお姉ちゃん(私)、いくつに見える?」
と尋ねたら
「22歳」
と返答された。

感無量。

「ありがと!」
頭を撫でたら抱きつかれた。
しかもおっぱいを握られたんだが…。
操を6歳児に奪われてしまった。
いとも簡単に。


嗚呼、疲れた。
たくさんの親戚や来賓と接して、本当に疲れてしまった。

そういえば、この葬儀場は以前、スーパーサンユーだった。
サンユーに行き祖母に好きなお菓子を好きなだけ買ってもらうのが、幼い私や妹の楽しみだった。
着物姿でカートを押す祖母の姿が思い浮かぶ。

でも、もう泣かないよ。

おばちゃんの強さはたしかに遺伝してっからさ。
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メモリアルコーナー

2008年04月15日 23時18分10秒 | Weblog
祖母の作品。

通夜

2008年04月15日 23時14分31秒 | Weblog
実家に着くと、既に親戚が集まっていた。

床の間で、おばちゃんと対面した。

死に顔は、今にも笑いそうな大変安らかな顔だった。

「おかえり。お勤め頑張ってきましたか?」
と言っているみたいだ。

私は堪えきれず声を出して泣いた。

「亮子だよ?ごめんね」

私は、祖母に謝っていた。
彼女にはさんざん迷惑をかけた。
生前はあまり顔すら見せなかった。
でも、おばちゃんは私に毎年お年玉をくれていた。
不甲斐ない孫で、大変申し訳ない。

死んでから気づくだなんて遅すぎだ。
私はなんて愚かな人間なんだろう。
その気持ちは嗚咽となり、昼下がりの床の間に響いていた。

喪服に着替えて、出棺の準備。

葬儀屋さんが来た。
彼は、祖母の顔を剃刀で剃り出した。
その手つきが上手かったので、誰かが突っ込んだら、彼は元床屋さんということが判明。
床屋さんから葬儀屋さんって…なんか、ミナクルなとらばーゆじゃね?

親戚一同で、アルコールの脱脂綿でおばちゃんの体を拭き、死装束の準備をした。

おばちゃんはこれから49日の旅に出るらしい。

きっと
「億劫だから嫌だわ」
とか文句言ってると思う。
そういう人だった、彼女は。

棺に、私は折り鶴と手紙を入れた。

天国で読んでくれるかな。


歩いて数分の葬儀場に向かう。

受付の横はちょっとしたメモリアルコーナーが誂えてあった。
祖母が生前趣味として作っていた折り紙の白鳥や伯母が描いた祖母の絵、写真、そして極めつけは尋常小学校を卒業するときの作文が飾られていた。
彼女は首席で卒業したらしく、そのとき読んだ答辞が額縁に入れられて置かれていた。
読んでみると、私の文章にどことなく似ていた。
…回りくどい文体とか…。

通夜には250人ぐらいの人が参列した。
遠くから来た従兄弟やその子供などである。
わが親族にはいなさそうな、少しファンキーな若人も参列していた。
聞いてみると、彼らは従兄弟の遊び仲間で、生前の祖母と面識があったとのこと。
また、弟の友達も来ていた。

祖母は、若い人はみんなお腹が空いていると思っていて、孫が友達を連れてくると店屋物を取ってくれた。

通夜のあとの宴会は、ひたすら飲み食いに徹していた。

「結婚は?」
「いい人いないの?」
という質問を伯母たちがストレートに訊いてくる。

「人生ソロ活動ですから」

私が地味に返答するのを母が
「この子は忙しいんです!」
と答えていた。

タレントとマネージャーばりの連携プレーである。

本来ならば、今宵、家族は祖母の隣で寝て、線香の灯火を見張ってなければいけない。
しかし、私はマイスリーによる健忘を危惧され、実家にて留守番。

明日も忙しいらしい。

今宵は早く寝ます。
コメントをくれている皆様、必ずレスしますので待っててチョンマゲ。
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雀宮駅

2008年04月15日 23時05分30秒 | Weblog
昼に会社を抜け出し、夕方、雀宮駅に着いた。

私の故郷。
こんなに重い気持ちの帰省は初めてだ。

おばちゃん、もうすぐ会えるね。

待っててね。

駅の花壇にはチューリップが咲き乱れていた。

この季節が巡る度に、私は今日の日を思い出すだろう。