暴風の涸沢での幕営から一夜が明け、雲一つない絶景のモルゲンロートを撮影した後
テントで天女が作ってくれた朝食を食べていると
天女がぽつりと言いました。
「私、もう登山は出来ないと思うわ。」
びっくりして天女を見ると涙目でした。
・・・よっぽど苦しかったんだな・・・ごめんね・・・
錆鉄人は心の中で謝っていましたが、出て来た言葉は裏腹でした。
「大丈夫!明日から鍛えてあげるから!」
天女は苦笑するばかり
パノラマコースで帰る時、
思いのほか天女はいいペースで歩いていました。
錆鉄人はお世辞ではなく言いました。
「おかあさん、いいペースだよ。大丈夫、来年も涸沢に来れるよ!」
「でも、もう雨の中のテント泊はしたくないわ。」
「うん、来年は区長でないからウィークデーの天気のいい日に来ようね!」
錆鉄人は策略で行った訳ではありませんが、
こうして来年も天女は「辛い人生(涸沢幕営)」をおくる事が決まったのでした。
(ちなみにこれをブログに書いたのは、天女が忘れてしまった時の為の深慮遠謀です。)
*錆鉄人は事あるごとに「辛い人生だね!」と感謝の気持ちを添えて天女に声を掛けて「ねぎらって?」います。
おかあさん、ありがとう!