電車の移動時間に村上春樹を読み始めている。状況描写の多い文章だなというのが第一印象。何気ない日常を丁寧に描き積み上げていくことで漂う空気感と主人公の心理描写を醸し出す。多感な青年期にこれを読んだのなら共感し惹きつけるられる少年少女も多いかと思う。この感覚は最近も体験したなと思い当たったのがカズオ・イシグロ「わたしを離さないで」。どちらもよい雰囲気の作品だとは思うのだけれど、読んでいる端からそのディテールもみるみる形を失いボヤけてしまう。それはまるでソラリスの海が魅せる幻影の世界にも似て。
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