〈ルート上から見られる2つ目の火口湖と羅臼岳をバックに〉
今回の山旅の一番の狙いだった天頂山。知床半島の根元から連なる斜里岳、遠音別岳、知西別岳と登っていたが、知床峠を挟んで羅臼岳と対峙するこの山は未踏だった。
この山へのルートは、知床峠が開通する直後の5月上旬から中旬までの積雪期が狙い目である。そこで今回の挑戦となった。
今年の5/5にトライしたが、やばいトラバース地点で諦めて戻って未踏のままだという中標津のMoさんを誘って、同行の約束を取り付けた。
ところが、雨の昨日は通行止めだった。てっきり積雪で通行止めになったと思っていた。それなら、今日もダメだろうとあきらめていた。しかし、今朝Moさんから電話があり、「昨日は、雨で凍結の恐れがあったので通行止めになったけど、今日は晴れているので大丈夫だろう」とのこと。
9時過ぎに、車中泊した羅臼道の駅に彼はやって来た。熊の湯の入口にあるゲートまで行く途中の道路情報では、「通行可能」に変わっていた。
10時にゲートが開いた。知床峠の駐車場まで行ってスタートの用意をする。かんじきは背負ったが、最後までツボ足で往復できた。
10:25、知床峠から後ろの天頂山をバックに写真を撮ってスタート。
車道をウトロ側へ10分ほど歩く。見えている最高ピークは目指す天頂山
雪が頂上手前までずっと繋がっている斜面に取り付く。途中3つの火口湖を左下に見ながら登るルートだが、1つ目の火口湖の上に出ると、それはまだ雪の下だった。
やがて、2つ目の火口湖の右側の急斜面が目に入ってくる。上のハイマツまで登り、ハイマツ沿いに進むが、Moさんは、その先の下に突き出た岩場までの下りのトラバースが怖くて、その上のハイマツ帯に入って撤退したという。
自分も高所恐怖症だが、二人だと心強い。ここからは、自分が先に出て慎重に進んだ。間違いなく、ここがこのコースの核心部だった。
下に向かって突き出た岩場を越えると怖いところはない。ホッとして振り返ると、火口湖と羅臼岳が見える(冒頭の写真)。
あとは、若いMoさんが先に出て、頂上手前のハイマツ帯を目指して登って行く。
途中で左下に3つ目の火口湖が見える。
どうしても漕がなければならないハイマツ帯の手前まで来ると、正面に知西別岳と左下に羅臼湖の眺めが広がる。
頂上までのハイマツ帯の手前にリュックとストックをデポして、空身で突入。途中雪面が出ている所もあり、10分ほどのハイマツ漕ぎで、やはりハイマツに覆われた頂上に到着。
頂上標識はないので、Mo さんが用意してきた山名と登頂日を書いた紙を持って記念撮影。
360度の展望が広がる。東には羅臼岳、北にはオホーツク海、西には知西別岳、南には国後島。
風が強くて寒いので、すぐにハイマツを漕いで、リュックのデポ地点へ戻る。そこは風が当たらなくて暖かいので、15分ほど昼食タイム。
登りでは怖くなかった下りのトラバースは慎重に下る。振り返ると、自分たちのトレースがはっきりと見えている。
登りで怖かった核心部は岩場を巻くところ以外は、登りのトラバースになるので怖くはなかった。そこを越えると、あとはルンルン気分の下りである。遠く離れた念願の登頂が叶った満足感・達成感の余韻を胸に、車道を10分ほど歩いてゴール。
2つ目の火口湖の上の急斜面のトラバースは怖かったが、あとは覚悟していたハイマツ漕ぎも含めて、意外と楽勝の思いが強かった。
登り1時間30分、下り(昼食タイム15分を含む)1時間10分。ゴール13:10。ゲートが閉まる時間は15:30なので余裕のゴールだった。
Moさんも、「二人なので心強かったし、誘っていただいたお陰でようやく登頂できた」と喜んでくれた。
帰りには、羅臼の名湯である露天風呂「熊の湯」で汗を流して疲れを癒す。Moさんは先に帰路に就いたが、自分はさらにのんびりと入っていた。
コンビニでビールを買って、羅臼道の駅まで戻り、14:30から飲みながらブログを打つ。
早めの夕食は、道の駅併設の知床食堂の羅臼昆布ラーメン。麺に昆布の粉末が練り込まれている。
明日は、一人で上から眺めた羅臼湖まで往復する予定。夏に一度行っているが、その時は羅臼岳が見えなかった。明日は好天予報なので見えるだろう。