Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

八ッ場ダムの遺跡を守る

2013-02-20 | Weblog
保坂展人さん(現世田谷区長)と八ッ場ダム建設予定地に初めて行ったのはいつだったか。河原湯温泉もずいぶんさびれてきていると聞く。……時間的に余裕がなくて大した手伝いはできていないが、<八ッ場ダムの遺跡を守る文化関係者のアピール>賛同者を募っている。正確に言えば、『ダム検証のあり方を問う科学者の会』の要請を支持する文化関係者のアピールである。このアピールは2月28日に文化庁長官と国土交通大臣に向けて賛同人の名前とともに届け、科学者の会とともに記者会見を開いてメディアにも発表することになっている。
私以外のアピール呼びかけ人は、森まゆみ(作家)、アーサー・ビナード(詩人)、野田知佑(カヌーイスト) 加藤登紀子(歌手)、金原瑞人(翻訳家・法政大学教授)、きくちゆみ(著述翻訳)、永井愛(劇作家)、中村敦夫(俳優)、田中優(未来バンク代表)、中川李枝子(作家)、といった皆さま。

『ダム検証のあり方を問う科学者の会』の要請を支持する文化関係者のアピール

 吾妻(あがつま)渓谷(群馬県長野原町)八ッ場にダムをつくるという計画は1952年に始まり、1986年に閣議決定されてから四半世紀がたちます。1947年のカスリーン台風の千人以上の犠牲と首都圏の発展のなかで、ダムをつくって利根川下流の治水と利水を計ろうとしたものです。しかし時代が変化し、治水効果はほとんどないというデータが出ており、水道の漏水対策、節水機器の普及や工場の移転で利水面でもいらなくなりました。その八ッ場ダムに毎年、国民の税金がブラックボックスのように注ぎ込まれています(関連工事や利息も含めれば一兆円近く)。

 いらないとわかっていても自民党政権下では政策転換が図れず、民主党政権になって前原誠司国交大臣によって中止が言明され一躍注目を浴びましたが、それもなし崩しに「中止の中止」に追い込まれました。しかもダム中止後の地元住民の生活再建を支援する法整備がありません。そのため住民はダム事業なしでは生活できない状況に追い詰められています。60年間をダムに振り回された地元の方々の辛苦は想像するにあまりあります。
そして再度の政権交代が起るなかで、ダム本体工事がはじまりそうな気配です。

 このダム計画は「ずり上がり方式」での住民の現地生活再建をめざしていましたが、安全とはいいがたい高価な代替地に移る住民は、当初の予想より大幅に減りました。代替地、付け替えの国道、鉄道などの膨大な工事は地形をずたずたにし、軟弱な地盤のダムに水を貯めれば、地すべりなどの災害を引き起こしかねません(東日本大震災では福島県内のダムの決壊によって死者も出ており、奈良県の大滝ダムでは、ダム湛水による地すべりで多数の住民が移転を余儀なくされました)。

 以前から八ッ場ダムが国の名勝である吾妻渓谷の美しい風景を損なうこと、国の天然記念物である川原湯岩脈を水没させることなど、文化財保存の立場から愁える人々は少なくありませんでした。ダム建設がきっかけで行われてきた群馬県の考古学調査で、水没予定地には江戸・天明の浅間山噴火による集落の貴重な遺跡があることがわかりました。泥流の堆積によってほぼ完全な形で当時の生活文化が保存されており、これはまさに『日本のポンペイ』といえるものです。そのほか縄文、弥生、古代から近世までの遺跡が層になって埋もれている歴史の宝庫です。

 私たちは歴史の証人であるこれらの遺跡の破壊を望みません。ここがダムではなく、歴史のフィールドミュージアムを中心に、豊かな温泉資源を活かした地域として再生することを願っています。
 八ッ場ダムの本体工事を中止し、遺跡保存による地域の再生を求める『科学者の会』の別紙の要請に、日本の歴史と文化を守る立場から呼応、協力したいとかんがえます。

 以上のアピールに賛同者になっていただければ幸いです。このアピールは2月28日に文化庁長官と国土交通大臣に向けて賛同人の名前とともに届け、科学者の会とともに記者会見を開いてメディアにも発表したいと思います。
 賛同人になってくださる文化関係の方は、yamba@yanesen.com に、ご連絡ください。
 ご返信の際、お名前、肩書、メッセージなどを御書きください。

2013年2月6日

以下で、八ッ場ダム周辺の映像が見られます。
http://www.youtube.com/watch?v=fqem0a-UGUI&list=UU-xnCRxBtuzGOq945ccdIBg&index=17
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