Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

前向きになれるニュースがない

2013-02-01 | Weblog
柔道女子日本代表の暴力問題で全日本柔道連盟から戒告処分を受けた園田隆二監督が「これ以上、強化に携わっていくことはできない」と辞任表明。「私自身の一方的な信頼関係だった」という。双方向の意味で悲しい言葉だ。相手に信頼されなかったと思えば彼も苦しいだろう。しかしそれがストーカーの呪詛のように響いてしまう。暴力+パワハラとまとめているが、実際の暴力は事実としての行為だから、弁明は不可能だ。連盟は「若い選手たちの将来を考え表に出さない方がいいと思った」と、公表しなかった理由を、あくまで「選手のため」としている。今後の国際大会への選出を考えたからだというが、五輪招致を焦るJOC側との「火消し」の約束もあるのだろう。ザッケローニ監督に言われるまでもなく、アスリートを成長させ育てていくために、暴力は必要ない。女子選手たちがおそれず申立てをしたことは、評価できる。それが意識の自立に繋がるなら、大切なことだ。一方、監督を庇う声も聞こえてくる。ただ、ほんとうに選手と園田監督の間にコミュニケーションが取れる可能性が一縷でも残っていなかったのなら、一年前の合宿でのことをここまで引き摺る必要はない。互いに「引けなくなった」ということかもしれないが、監督一人に背負わせることでないなら、早々にまわりが何とかすべきだったのではないか。遅い対応と、オープンでないことが、いけない。……今回は暴力が介入しているから疑問の余地はないだろうが、ただ、「パワハラ」のみのケースは検証が難しい気がする。もちろんじっさいに悪質なものはあるだろうから、問題が生じれば公にされるという慣例を作るべきだ。「被害者」による親告罪の範疇にも入ってくるゆえに、矛盾が大きいのだ。希なことだろうが、自分本位の「被害者」が指導者を「加害者」に仕立て上げる例も、ないとはいえない。逆に、理不尽な自称「被害者」を、それでも守ろうとして、結果として実は罪のない指導者が「加害者」として激しく傷つけられることも、ありうるからだ。……一連の「過剰な指導」についての話題で、自分に甘い「被害者」が自らを省みることなく、たんに「厳しくされることを逃れることができる」という空気になるのは、いいことではないだろう。相手が聞く耳を持たないだろうと推察したときに、指導者が丁寧な指導さえ「避ける」ことになってしまうだろうからだ。……体罰に反対する体罰経験者でさえ「それでも過去の体罰で打たれ強くなったのは確かだ」と言ったりする。私より若い世代にも意外と体罰肯定論者が多いことにも驚かされる。だが、まずは、法律で禁じられているのだから駄目だ、でいい。「体罰」という「終点」がなければ、悪質な「パワハラ」も、自然と減る。……過去に体罰推進派の石原慎太郎、櫻井よしこらが企画した体罰に関するシンポジウムでは、「子供のための体罰は教育」と謳われている。「罰は子供を強くするため、進歩させるために行われます」「「叱るよりほめろ」では子供は強くなることができません」「人間は強い分だけ優しくなります。いかに多くの罰を受けたかが優しさを決めます」「人のことを思いやる力をつけるには、体罰は最も有効です」。これが本当に、告知文に記されているのである。体罰に反対することは、こういう狂気に抗することでもある。……AKB48メンバーの一人の女子が、丸刈りにした頭で登場し、異性関係について涙ながらに謝罪するという映像がYouTubeのAKB48の公式チャンネルに掲載されているという。これは無視すべきだ。なぜか体罰問題や上記の柔道女子日本代表の件と比較する人もいるが、関係なさ過ぎる。……その他、いやになるような記事ばかりだ。日本はヘンだ。前向きになれるような記事が、何一つない。だが、無視できない。安倍首相が衆院本会議で、かつての河野洋平官房長官が旧日本軍による従軍慰安婦の強制連行を事実上認めた「河野談話」について「首相である私がこれ以上申し上げるのは控え、官房長官による対応が適当だ」と述べた。官房長官発言については官房長官がコメントするのが筋だ、と本気で言っているのだったら、愚かである。自民党は衆院選の政権公約で「歴史的事実に反する不当な主張が公然となされ、わが国の名誉が著しく損なわれている。的確に反論・反証する」とし、明確に河野談話見直し論を唱えている。明らかに逃げようとしているのだ。その菅義偉官房長官は河野談話について「学術的観点からさらなる検討が重ねられることが望ましいというのが内閣の考え方だ」というが、「学術的」というコトバがこれほどむなしく響くことも珍しい。首相は「従軍慰安婦問題」について「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む。政治、外交問題化させるべきではない」というが、どの口が言うのか。29日にニューヨーク州上院で日本政府の謝罪を求める「日本軍慰安婦決議案」が満場一致で通過したばかりのこの時期に訪米を控え、ビビり始めただけだろう。昨年11月にはニュージャージー州のローカル紙「スターレジャー」に慰安婦の存在を否定する広告が掲載された。首相も一枚噛んでいる。それをアメリカの人たちもみんな知っている。渡米すればさぞ手厚い歓迎を受けるだろう。「新たな首相談話」を検討する方針というが、本気で何か言うことがあるのか? ……日本社会は自らの「人格形成」をどこで間違えたか。やはり問題は依存心の強さだ。過去に依存し、強者に依存し、社会の無関心にさえ依存している。「自立」という言葉の意味がわかっていないのかもしれない。……唯一心が落ち着いたニュースは、映画監督の土井敏邦さんがかねてからの予告通り、沖縄・高江で、パレスチナ映画『壊された5つのカメラ』を上映したという報せだ。土井さんは国家の横暴に住民が非暴力で闘う姿が、パレスチナ人と沖縄の住民に共通するという認識で、「高江の住民をこの映画で励ましてほしい」という森住卓氏の要請に応えての上映だったという。……安倍首相は普天間基地の辺野古移設に関して「沖縄の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しつつ移設を進める」と発言している。論理も何もない。2月2日の沖縄訪問で「沖縄の皆さんには説明した」ということにしたいだけだろう。「渡米の手みやげ」を作ろうとする考えが見え見えだ。「辺野古移設」を自分の「慰安婦問題」の失点を補うカードに使うつもりだ。なんという自分本位だ。決して許してはならない。
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