27年前に事故を起こし、コンクリートの『石棺』に覆われたチェルノブイリ原発で、4号機の屋根と壁の一部が倒壊。老朽化した壁のあちこちに亀裂が入っており、建物の屋根が雪の重さに耐えきれず、約600平方メートルにわたって崩れ落ちたという。放射性物質が外に漏れ出す危険があり、既に80人の作業員が現場から逃げ出したという。耐用年数100年の新たな鉄製シェルターが建設中で、さすがに事故から四半世紀を越え、その体験をもとに確実な対応をしているなと思っていたのだが、老朽化の進行は、人間の対応のスピードを待ってくれなかったということか。このまま倒壊が進み、中に残された200トン近い使用済み核燃料が露出してくると、たいへんなことになる。チェルノブイリ原発が、「廃炉まで100年以上かかる」と言われていた、その「廃炉」というのが、どのレベルまで問題が解決した状態を言っているのか詳細にはわからないが、福島原発事故処理の未来を思うと暗澹とする。仏紙ルモンド等には出ているというが、今ひとつヨーロッパで大騒ぎになっていないのが不思議だ。日本にそれが伝えられていないだけなのか。しかし、あれから二十七年とは。あの頃、チェルノブイリ事故直後、放射能の影響を予測して「ズブロッカが駄目になるよ」と言って、一箱買い占めた女子がいたが、(私も一本もらってしまったが)、印象に残っているのは、当時の環境派の人達も含めた、「見えない」「遠い」という、つかみどころのなさだった。「見えない」「遠い」出来事に、どう対応するかという認識に於いて、我々は進歩したのだろうか。極めて近くにある福島原発事故について「見えない」「遠い」と決めつけてはいないだろうか。チェルノブイリのデータを福島に当て嵌めて考える言説を幾つか見たが、多くの人たちがそのデータを真剣に受け止めようとしていない空気を感じる。他者と歴史に学ぶことは、人類に与えられた「智恵」のはずなのだが。……島根県主催の「竹島の日」式典に島尻安伊子内閣府政務官が初めて政府代表として出席。政府関係者として初めての要職者出席。過去最多の国会議員が参加。で? これからどうする? 今までやらなかったことをやるからには、考えと覚悟がいるはずだ。だが、何もないと思う。安倍内閣が何も考えていないということを、あらためて露呈しただけだ。今週末、日韓演劇交流センターによる「韓国現代戯曲ドラマリーディング」で、韓国の仲間たちが来日しているだけに、胸が痛い。
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