映画『空の瞳とカタツムリ』。
HP等に、コメントを書いた。
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登場人物はそれぞれ作者の一部。傷つく原因も自分だし、傷つけているのも、傷つけられるのも自分だ。自分が自分であることが怖いのだ。迷い惑う心としての「脚本」に対して、「映画」が逃れられないように、身体を与えた。
旧友であるらしい三人の登場人物は三人で一人であり、作者そのものだということは、すぐわかる。三人はそれぞれ作者の一部であり、まるでバラバラなのだ。だから重なる要素がない。仲のいい昔からの友達には見えやしないし、ちゃんと思春期をやってこなかっただけみたいにも見える。
傷つく原因も自分だし、傷つけているのも、傷つけられているのも自分だ。それぞれが自分に都合良く「欠落感」を言い訳にしている。登場人物達の葛藤は空回りし、「自分が自分であることが怖い」という仕組みだけが伝わってくる。
男性役をえらく便利に使っている「女目線」の構図なのだが、製作現場はそれを逆手にとったのだろう。迷い惑う心であるところの「脚本」に対して、「映画」が逃れられないように身体を与えた、という仕組みになっているかのようだ。
そして、物語における存在の比重が、誰かから誰かにうつっていく過程が、この映画をスリリングにしている。
最初は弱点であり欠点であるように見えかけていたものが、この世界では大切なものなのだろうということが、自然と伝わってくる。映画は現実の鏡であり、誰かの想念の中にこの人達は確実に存在しているはずだと感じられる。
松枝君、成田さん、もろもろと旧知の方々が関わっている。どこか廣木隆一っぽいし、相米慎二っぽい。
で、この映画の宣伝美術は、燐光群3月公演『九月、東京の路上で』+『生きのこった森の石松』『あい子の東京日記』の宣伝美術も手掛けている、われらが Lee Uni (李潤希)である。
■キャスト
縄田 かのん
中神 円
三浦 貴大
藤原 隆介
利重 剛
内田 春菊
クノ 真季子
柄本 明
■スタッフ
監督:斎藤久志
脚本:荒井美早
企画:荒井晴彦
■公開情報
2019年2月23日(土)池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
<strong>■公式サイト
http://www.sorahito.net/