昨年7月に初演した『九月、東京の路上で』、続演します。
関東大震災を背景にしている映画『金子文子と朴烈』とも重なるところ大、ということで、上映中のシアター・イメージフォーラムにもチラシを置かせていただいています。
オリンピックを間近にした、今の東京が舞台です。
日本と諸外国の緊張関係が増している現在、ぜひともお届けしたい芝居です。
ドキュメンタリー・シアターということになっていますが、物語はあります。一種のミステリーといってもいい。
写真は、千歳烏山の住人たちが、ある「真相」に近づいていく、終盤近くの場面です。
『九月、東京の路上で』
3/16(土)〜18(月)、21(木・祝)・22(金)、24(日)・25(月)、27(水)〜31(日) 下北沢ザ・スズナリ
── 2013年、男はヘイトスピーチの怒号が飛び交う路上にいた。生まれ育った新大久保に差別と排外主義が持ち込まれたことに怒りを覚えていた。ここは多様な人びとが住む開かれた場所だった。それに対する抗議活動を続ける中、1923年の関東大震災で、多くの外国人が殺害されたことを思い出す。ヘイトスピーチの怒号は、90年前に東京の路上に響いていた「殺せ」という叫びと共鳴していた。彼は仲間たちに呼びかけ、殺害や暴行があった東京の各地を訪ね写真を撮り、当時の証言や記録を元に、そこで起きたことを伝えるブログを開設した。これは過去の話ではなく、今に続く事実なのだ。「新大久保の路上から」「警察がデマを信じるとき」「流言は列車に乗って」「地方へと広がる悪夢」「間違えられた日本人」──。2013年秋に始まったブログだが、多くの反響を呼んだ。過去と現在の状況が重なりあっていく。
2018年の夏に初演した本作は、早い時期から反響を呼び、「媚びぬ演技 台詞力」「愛想はないが、引きずり込まれる」「歴史へのまなざしが深い」(山本健一氏 朝日新聞)、「90年以上前に起きた禍々しい歴史と、現代日本社会に蔓延する不穏な空気は地続きであるという警鐘を、演劇の手法で示した意欲作」(森重達裕氏 読売新聞)、「題材の歴史的・社会的重みはもとより、ノンフィクションと虚構の関係も考えさせられた」「千秋楽の下北沢ザ・スズナリの、それこそ鈴なりになった観客はラストに胸塞がれた」(東京新聞)、「直接に私たちの感性に訴えるこの手法は確かに効果的」(北野雅弘氏 赤旗)等、各紙・誌で好評を博しました。口コミも広がり、多くの方々がご覧になりました。
「ライブ」と「共感」という演劇的な特性によって、「誰が何をしたか」を見つめ直します。現在もなくなることのない差別・排外主義についても明らかにしつつ、あらためて「事実」を探る取り組みです。他方、自分自身が加害者になっていたかもしれないという自戒から芸名をつけた千田是也氏や、コミュニティで外国人を守った人々の姿など、実在の人たちの紹介も織り交ぜつつ、不可視の領域に閉じ込められがちな歴史上の真実に、様々な角度から迫ります。
< 加藤直樹(原作)> ノンフィクション作家。1967年生まれ。著書に『九月、東京の路上で 1923年関東大震災 ジェノサイドの残響』(ころから 2014年)、『謀叛の児 宮崎滔天の「世界革命」』(河出書房新社 '17年)、共著に『NOヘイト! 出版の製造者責任を考える』(ころから '14年)など。翻訳に『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』(チェ・ギュソク著 ころから '16年)がある。
アフタートークを開催します
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3/16(土) 加藤直樹(ノンフィクション作家)
3/18(月) 林海象(映画監督)
3/21(木・祝) 堀潤(ジャーナリスト・キャスター)
3/25(月) 有田芳生(参議院議員・ジャーナリスト)
3/27(水) 中川五郎(フォーク歌手)
3/28(木) 古川健(劇団チョコレートケーキ座付き作家)
3/29(金) 金守珍(演出家・新宿梁山泊代表・映画監督)
3/30(土) 19時の部 林あまり(歌人・演劇評論家)
http://rinkogun.com/Kugatsu_Tokyo_March.html