かつて〈ブリキの自発団〉の中心人物として活躍した生田萬さんが、約30年ぶりに書き下ろした新作を、自身の演出により上演。
座・高円寺の〈劇場創造アカデミー〉9期生による修了上演「犬と少女」。
きょう2月23日14時から、座・高円寺1で、残りもうワンステージ。若干は当日券が出るという。
〈劇場創造アカデミー〉は、座高円寺が設置している演劇学校。二年制。生田氏は同アカデミーのカリキュラムディレクターを務めている。
「9期生の声から発想して書き下ろした新作を上演します」という意味で、集団創作的な側面もあるのかもしれない。
9期生・大谷莉々、彼女ただ一人に向かって集約されていく、なまなましい劇の展開である。
〈ブリキの自発団〉テイストを期待することは、見合わない。ただただ、今を生きる生田萬と若き仲間たちを見よ、である。
30年以上前に「未来の懐かしさ」を標榜した〈ブリキの自発団〉の想定した「時代」を、現実の時の歩みが追い越してしまっているとも考えられる今、一種の「空洞感」としての「現実」を、舞台上に提示している。そんな言い方しかできない。虚しさを、何もないという事実を、演劇としては「実体」を持って見せる、というところに、生田萬らしさがある。
どうしても、感想というより、紹介になってしまう。
しかし、こうした注目すべき新作が「修了上演」として上演できることに、アーティスト主導の公共劇場の可能性を、あらためて感じる。
生田さんは四十年近く前からの知己を得ている、先輩である。
思うことは多すぎて、今はこれ以上、何も言えない。
興味を持たれる方はぜひ、目撃していただきたい。
上演情報
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座・高円寺 冬の劇場28
劇場創造アカデミー9期生修了上演
『犬と少女』
すべてのことはいつかは変わる
でも何も変わらない
人は死に、生まれてくる
そのはざまで、人は漂う。ただ漂う
未来に対する漠然とした不安を携えながら、宙ぶらりんに生きている……。
必死に? おちゃらけて? クールに? 「オレは、わたしは、生きている!」
自らの存在を証明しようとする、いつの時代にもある思春期特有のじたばた。
明日への祈りにも似たその時間を、沈黙という言葉にかえて、今を生きる若者たちに贈ります。生田萬ほぼ30年ぶりの書下ろし新作。どうぞ、お楽しみに!
作・演出:生田萬
出演:大谷莉々、服部容子、竹田茂生、山田宗一郎、石橋和也、河原舞(ゲッコーパレード)、崎田ゆかり(ゲッコーパレード)、牧凌平
演出協力・美術:佐藤信
照明:中田隆則 高円敦美
音響:島猛
衣装:今村あずさ
映像:飯名尚人
振付:竹屋啓子
舞台監督:佐藤昭子
演出助手チーフ:鈴木章友
演出助手:黒田瑞仁(ゲッコーパレード/5期修了生)
演出部(映像):久世直樹(9期生 舞台演出コース)
手話指導協力:田中結夏
日時 2019年2月22日(金)19時
日時 2019年2月23日(土)14時★
会場 座・高円寺1
料金 全席自由・税込 1,000円
※高校生以下・18歳以下の皆さんは無料です(要予約)。
座・高円寺チケットボックスでご予約下さい。
当日券若干枚数あり ※開演の1時間前より販売