コロナ禍問題で世の中が翻弄されている間に、この国では、今後の世の中をただただ悪くするための幾つかの方策を、無理矢理通そうとしている動きがある。
「特区法改悪」、「種苗法改悪」、感染防止のための「強制措置」が徹底されないことが現憲法が民主的すぎるためだとして「緊急事態条項」を付け加える必要があると誘導する「憲法改悪」、などである。
そう、コロナだけが危機じゃない。長期戦を余儀なくされるのではないかという予想の前に、時間がかかる、先が見えないという点で言えば、九年を超えても解決できていない、福島第一原発のことを、忘れてはならない。
高線量区域の存在などで廃炉作業が難航している東京電力福島第一原発で、敷地いっぱいの1000基を超えるタンクにたまる処理済み汚染水の処分について、経済産業省の小委員会は、技術的に実施しやすい「海洋放出」を有力視しているという。(大気放出という案もある)
現在のタンク増設計画では2022年夏ごろに敷地内の全てが満杯になるとしている。規制基準を上回る汚染処理水は今も全体の7割という。
東京電力は、先月下旬、海洋放出した際の拡散予測を初めて発表している。
放出される水は「無害化された水」では、ない。東電は、水を処分する際には再浄化の方針を示しているが、ほとんど「薄めるだけ」のようだ。
想定した中で最も多い量を放出した場合でも、最後まで取り切れない放射性物質トリチウムの濃度が、いまの海水の水準を超えるのは、南北30キロ・沖合2キロの範囲となるそうだ。それを東電は「発電所の近くに限られ、濃度も飲料水基準より十分低い」と説明した。北は南相馬市と浪江町の境界付近、南は楢葉町の南部までだという。
国や東京電力は「ALPSではトリチウム以外の放射性物質は除去できる」「トリチウムは生物への影響も小さく、国内外の原子力発電所でも海洋放出はしている」と説明している。本当にそうなのか。
浄化処理しても除去できないトリチウムを含む汚染水は110万立方メートル以上保管されており、1日100~150立方メートルのペースで増え続けている。そもそも事故前規定を守れば、今ある量だけで海洋放出には45年必要という。
もちろん海洋放出には、漁業者が強く反対している。魚介類に含む放射性物質を検査しながらの試験操業は、着実に漁獲量を伸ばしてきている。
福島第一から新たに汚染水が海に捨てられるとなれば、元の木阿弥どころではない。
新たな「風評被害」が、ずっとずっと続くのである。
漁業にとっては大打撃どころか、致命傷になる。
汚染を広げないためには、タンクで保管を継続し、あきらめずにトリチウムを除去する技術開発を急ぐしかないはずだ。他に解決策はない。
しかし政府小委員会は、「処分は海や大気への放出が現実的だ」とする報告書を公表してしまった。
処理水の海洋放出については浪江町議会が全会一致で反対決議している。
浪江町は町面積の約8割が今も帰還困難区域に指定され、居住者は原発事故前の人口の約6%に相当する約1200人にとどまる。
それをさらに追い詰めるというのか。
4月21日にも、国内外の320市民団体が、トリチウムを含む処理水の処分を巡り、陸上での保管継続を国に求める共同声明を発表した。
このまま最悪の事態を避けるためには、コロナ禍問題のみに惑わされず、選考した危機であるこの問題を、根気よく解決するために動く人達を応援することだ。
彼らの存在を忘れず、知らしめることだ。
国は人間を守らない。過去の歴史から学ばず、先人の知恵を重んじず、未来に対する責任を取ろうとしない。
結局、問題は同根なのである。
写真は五年前。東電福一原発が見える場所を訪れたとき。
「特区法改悪」、「種苗法改悪」、感染防止のための「強制措置」が徹底されないことが現憲法が民主的すぎるためだとして「緊急事態条項」を付け加える必要があると誘導する「憲法改悪」、などである。
そう、コロナだけが危機じゃない。長期戦を余儀なくされるのではないかという予想の前に、時間がかかる、先が見えないという点で言えば、九年を超えても解決できていない、福島第一原発のことを、忘れてはならない。
高線量区域の存在などで廃炉作業が難航している東京電力福島第一原発で、敷地いっぱいの1000基を超えるタンクにたまる処理済み汚染水の処分について、経済産業省の小委員会は、技術的に実施しやすい「海洋放出」を有力視しているという。(大気放出という案もある)
現在のタンク増設計画では2022年夏ごろに敷地内の全てが満杯になるとしている。規制基準を上回る汚染処理水は今も全体の7割という。
東京電力は、先月下旬、海洋放出した際の拡散予測を初めて発表している。
放出される水は「無害化された水」では、ない。東電は、水を処分する際には再浄化の方針を示しているが、ほとんど「薄めるだけ」のようだ。
想定した中で最も多い量を放出した場合でも、最後まで取り切れない放射性物質トリチウムの濃度が、いまの海水の水準を超えるのは、南北30キロ・沖合2キロの範囲となるそうだ。それを東電は「発電所の近くに限られ、濃度も飲料水基準より十分低い」と説明した。北は南相馬市と浪江町の境界付近、南は楢葉町の南部までだという。
国や東京電力は「ALPSではトリチウム以外の放射性物質は除去できる」「トリチウムは生物への影響も小さく、国内外の原子力発電所でも海洋放出はしている」と説明している。本当にそうなのか。
浄化処理しても除去できないトリチウムを含む汚染水は110万立方メートル以上保管されており、1日100~150立方メートルのペースで増え続けている。そもそも事故前規定を守れば、今ある量だけで海洋放出には45年必要という。
もちろん海洋放出には、漁業者が強く反対している。魚介類に含む放射性物質を検査しながらの試験操業は、着実に漁獲量を伸ばしてきている。
福島第一から新たに汚染水が海に捨てられるとなれば、元の木阿弥どころではない。
新たな「風評被害」が、ずっとずっと続くのである。
漁業にとっては大打撃どころか、致命傷になる。
汚染を広げないためには、タンクで保管を継続し、あきらめずにトリチウムを除去する技術開発を急ぐしかないはずだ。他に解決策はない。
しかし政府小委員会は、「処分は海や大気への放出が現実的だ」とする報告書を公表してしまった。
処理水の海洋放出については浪江町議会が全会一致で反対決議している。
浪江町は町面積の約8割が今も帰還困難区域に指定され、居住者は原発事故前の人口の約6%に相当する約1200人にとどまる。
それをさらに追い詰めるというのか。
4月21日にも、国内外の320市民団体が、トリチウムを含む処理水の処分を巡り、陸上での保管継続を国に求める共同声明を発表した。
このまま最悪の事態を避けるためには、コロナ禍問題のみに惑わされず、選考した危機であるこの問題を、根気よく解決するために動く人達を応援することだ。
彼らの存在を忘れず、知らしめることだ。
国は人間を守らない。過去の歴史から学ばず、先人の知恵を重んじず、未来に対する責任を取ろうとしない。
結局、問題は同根なのである。
写真は五年前。東電福一原発が見える場所を訪れたとき。