老いてくると、色々な欲望が弱くなってくるものだ。
それは自然のまことに合理的な摂理で、衰えに従って、生きる意欲自体が低くなってくるのは、生体にとって幸福なことだろう。
ただ、睡眠欲が衰えることは、オカブにとって苦痛だ。
昔、若いころは十時間でも十二時間でも寝られた。
しかし今は寝られても長くて六時間だ。
これは色気よりも眠気、食い気のオカブにとっては辛い。
なんとかならぬものか?
霜露も折り目正しき秋気かな 素閑
山深く分け入る里の秋気かな 素閑
昂然と刺しくるまなこ秋気あり 素閑
月に満つ秋気きたれる軒端かな 素閑
深き沢清水に触るる秋気満つ 素閑
ビルの間の細き筋吹く秋気かな 素閑
橋脚に流れを分かつ秋気なれ 素閑
疾く暮れて秋気清かり月見窓 素閑
老いはてて清き秋気も骨裂くる 素閑