これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

アルチンボルド展の魅力

2017年07月09日 21時23分23秒 | エッセイ
 ブロ友さんから情報を得て、アルチンボルド展に行ってきた。



 国立西洋美術館に入ってすぐ、「作品数が少ない」と口を尖らせた。リストを見ると、全部で86の作品が並んでいるようだが、アルチンボルドの絵はわずか26に過ぎず、残りは別の画家で誤魔化している。しかも、このうち10作がデザインであることを差し引くと、じっくり鑑賞したくなる絵は16に減る。「これしかないのか」と不満を抱きつつも、その16作があまりにもすご過ぎて、退屈しなかった。
 アルチンボルドは「寄せ絵」と呼ばれるだまし絵のパイオニアである。花や動物、果実、魚などを何十種も描き込んだ結果、人の上半身ができ上がるのだから、発想の斬新さに驚かされる。しかも、それぞれのパーツが、質感豊かで実にリアルだ。
 たとえば、リーフレットに載っている代表作をご紹介しよう。
 ブドウや洋梨、カボチャ、栗などでこんな顔が。



 シカやサル、馬、象なども、たくさん集まれば人になる。



 タコ、エビ、ヒラメ、サメ、カニからも人間が生まれる。



 きっと、描いている画家本人も楽しんでいたのだろう。それぞれのパーツには生命が吹き込まれたかのように、表情豊かで生き生きとしている。絵の中には、いくつもの暗号が隠されているらしい。「ふふふ、この意味がわかるかな?」などといたずら心全開で描いたのかもしれない。
 「庭師/野菜」というタイトルのこの絵は、上下絵である。籠の中には、何の変哲もない野菜が詰め込まれているように見えるが、上下を逆さまにすると、あーらら、男の顔になるから不思議。



 本物は色鮮やかで、写真にはない妖しい輝きを放っている。心の窓を開けて、じわじわ近づいてくる魔力を感じる。ぜひ、空いている今のうちに、美術館まで行かれることをおススメしたい。
 もうひとつ、おススメしたいのが、展示室入口にある「アルチンボルドメーカー」だ。スマホやカメラはロッカーに入れぬよう気をつけて。自分の顔をモチーフに、オリジナル寄せ絵を表示してくれるので、素通りする手はない。
 機械は2種類あり、それぞれ正面の顔、横顔を映してくれる。
 まずは左側の機械から。
 正面。



 横顔。



 次に右側の機械へ。
 正面。



 横顔。



 おおっ、ぶさいくだな~!
 それでも、アルチンボルドが身近に感じられ、ホクホクしながら美術館を出た。いい展示を教えてもらって幸せだ。
 長居しなかったのは館内が寒かったからだ。心ゆくまで鑑賞したいという方は、嫌味っぽく、中綿入りの冬のジャケットをお持ちになるとよいだろう。
 9月24日まででーす!


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コメント (10)
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