これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

レディに一目惚れ

2023年10月22日 17時45分58秒 | エッセイ
 誕生日が近づいてくると、家族が気をつかって尋ねてくる。
「ケーキは何がいいの。前に欲しいのがあるって言ってたじゃない」
 そうそう。アトリエアニバーサリーのフェミニンなデコレーションで祝ってほしいと思っていたのだっけ。すかさず、ホームページを検索してみた。
「これがいい」



「こっちでもいい」



「どこで売ってるの?」
「池袋か新宿三丁目だね」
 答えながら、通勤定期を持っているのは私だけなので、自分で買うべきではないかと思った。なんか違う気もしたが、好きなケーキが選べるのだから「まあいいか」である。
 ケーキを買うには、日が暮れる前に職場を出なければならない。いつもより早く退勤した。池袋より新宿伊勢丹が近いので、まずはここから攻めたら、すぐにレディのケーキに出会えた。
「スイートレディホワイトをください」
「プレートをおつけしますか」
「はい」
 自分の誕生日とはいえ、「お誕生日おめでとう 砂希ちゃん」などとは頼みづらい。さすがに痛すぎる。無難に「ハッピーバースデー ママ」にした。
「買えた、買えた♪」
 帰宅するや否や冷蔵庫に入れる。クリームが溶けたら悲惨なことになりそうだ。真夏じゃなくてよかった。
 夕食の寿司をいただき、いよいよケーキが登場する。



「わあ、可愛い」
 よく見ると、HPとはドレスの柄が違うが、ウロコのようなデザインもまた素敵だ。
 後ろはこんな感じ。



 横からは……あまり見ない方がいいかもしれない。



「ロウソクをもらったからつけてみよう」
 クジャクの羽のように差してみたが、家族からは不評だった。
「何か千手観音みたいじゃない?」
 うん、まあ、そう言われればそうかも。



「ハッピバースデートゥユー」
 バースデーソングを歌ってもらい、ロウソクを吹き消す。誰かに祝ってもらえることが嬉しい。
 いよいよレディにナイフを入れるときがやってきた。胴体を抜かないと、うまく切れそうもない。3人で分けるにはちょっと大きいので、2日がかりで食べればよいかもしれない。



 カステラはフワフワ、クリームも軽くて、サクサク切れる。
 断面はこんな感じ。ドレスの中にもイチゴがあって、満足感が大きい。



 背が高いので、カットしたあとは寝かせた方が安心だ。



「いただきまーす! 美味しいね」
「うんうん、イケる」
 あっという間に食べてしまい、残りの半分に目が行った。
「全部食べちゃおうよ」
「そうだね」
 さすがにお腹いっぱいになったが、美味しいうちにいただけたのは正解だった。
 食後、ダラダラとネットサーフィンをしているときに思いつく。
「そうだ、Facebookにケーキをアップしよう」
 お祝いメッセージを寄せてくれた友人もいたので、お礼とともにレディを紹介したら、反応がすごかった。
「可愛い!」
「キレイなケーキですね」
 小学生のお嬢さんがいる友人からは「娘が誕生日のケーキをこれにして、って言ってます」なんてコメントも書き込まれ、レディは大人気である。
 ドレスがピンクのレディもいますからね。

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コメント (6)
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