これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ひな祭り 何か足りない ちらし寿司

2024年03月03日 21時23分35秒 | エッセイ
 今年もひな祭りがやってきた。
 私には姉と妹がいて、生まれてきたのが娘という女系家族なものだから、昔から重要なイベントだと思っている。
「さあ、ちらし寿司ができたよ~」
 この日ばかりは夫が活躍する。毎年スーパーでよさそうな刺身を選んでは、美しいちらし寿司を作ってくれるのでありがたい。こたつでダラダラと夕食を待っていた私は、呼ばれて素早く立ち上がり、いそいそと食卓に向かった。
「召し上がれ」
「わあい」



 あれっ。
 第一印象で違和感に気づいた。何かおかしい。何かが違う。でもその正体がわからない。
 うーん。何だろう。
「おしゃもじはこれを使って。はまぐりの殻はこのボウルに入れて」
「はい」
 それ以上は考えず、夫に促されるままに、ちらしを取り分けた。とびっこの入った酢飯はプチプチした食感が楽しい。味のついたシイタケに、香ばしい白ゴマが酢飯によく合って、自然に「美味しいなぁ~」との言葉が出た。マグロもイケる。ああ幸せ。
 それから間もなく、違和感の正体がわかった。
 あわてた夫がザルを抱えてテーブルに走り、「菜の花を入れ忘れちゃった」と言うではないか。
「ああ、緑がなかったんだね。そういうことか」
 色のバランスは大事だ。緑が加わると、ちらしに落ち着きが出たような気がした。
 しかし、この菜の花。よく見ると、茹でた水分をしぼり過ぎ、シワシワでクチャクチャになっているではないか。



 夫はなまじ力があるだけに、ふきんを絞れば破れ、グラスを洗えば割り、菜の花を茹でればボロ雑巾にようになってしまう。困ったものだ。力の入れ加減については、もっと考えてもらわないといけない。
「ねえ、パパ。菜の花は強くしぼらなくて大丈夫だよ」
「えっ、水分をよく切ったつもりだったんだけど、もっとってこと?」
「いや、逆だよ逆。もっと緩くていいから」
「そうかなぁ」
 ……ちゃんと伝わっただろうか。怪しい。
 お節句なので、ちらし寿司だけでなくスイーツも用意した。Hanako3月号に載っていたシュークリームの美味しいお店でこちらを。



 700円かぁと驚いたが、食べて納得。このシュークリームにはそれだけの価値がある。
 今まで食べた中では一番の味わいといえる。こってりカスタードクリームは抜群、パリパリのシューも絶品で大満足でした。ごちそうさまです。
 いただきものの桜餅と草餅もテーブルに並べたが、主役の娘は「お腹いっぱい」と言って食べなかった。
 代わりに夫が「和菓子はしばらく食べてないから、2つとも欲しい」と手を出し、嬉しそうに平らげていた。女の子じゃないのだが、片づけてくれるからまあいいか。
 男の子がいない我が家では、端午の節句は柏餅を食べる程度でお茶を濁す。
 今年は元・男の子のために、食事部門にも力を入れ、ちょっと豪華にしてあげてもいいな。

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コメント (12)
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