しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「鉄の枷」 ミネット・ウォルターズ

2008年10月21日 | 読書
「鉄の枷」 ミネット・ウォルターズ    創元推理文庫
 The Scold’s Bridle       成川裕子・訳

資産家の老婦人、マチルダ・ギレスピーは、睡眠薬を服用した上で手首を切り浴槽に横たわって死んでいた。
床には血まみれのスタンリー・ナイフが転がっていた。
その頭には中世の鉄の拘束具、スコウルズ・ブライドルが被せられていた。
自殺とも考えられたが、マチルダの主治医、セアラ・ブレイクニーはマチルダは自殺とはおよそ縁遠い人物だったと言う。
娘のジョアンナ・ラザラスとも離れて暮らし、孤独なマチルダに好意を寄ていたのは、セアラと画家の夫ジャック・ブレイニーだった。
トーマス・クーパー部長刑事はマチルダの死を自殺を他殺から調べていく。
次第に明らかになって来るマチルダの過去。
そして、遺言が明かされ新たな謎が生まれる。



すでに死んでいるマチルダが主役の物語。
自殺か他殺かから始まって、それまでの人生が少しずつ分かってくる。
現在進行の話しの間にマチルダの日記が挿入されていて、それで真実が分かるという手法。
かと思っていたら、その日記に書かれていることも100%信じていいのか分からなくなる。
少しずつ分かってくる出来事が結構驚きの連続。
先が気になる物語。
マチルダという人間の強さが強烈な印象を残すが、もうひとり、ジャックもなかなか個性的で面白い。
始めの印象が段々変わって行くのは、周りの人たちに見方が変わって行くからだろう。
ジャックは人物画を描くが、それはその人の内面を見たもの。
ジャックの描く絵を見てみたい。自分を描いて欲しくはないけれど。
人間は大変な生き物だ。

会話にシェイクスピアからの引用が多く、クーパー刑事が「自分ももっと本を読もう」と思ったところも頷ける。
ああいう会話が出来ると面白い。
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