しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「PK」  伊坂幸太郎 

2012年11月26日 | 読書
「PK」  伊坂幸太郎      講談社

3編からなる中編

「PK」 
ワールドカップアジア最終予選。
それまで不調だった小津に勝敗を決めるPKのチャンスが来る。
深刻な顔をしていた小津に、子どもの時から一緒にサッカーをしていたチームメイトの宇野が声を掛ける。
小津も言葉を返し笑顔を見せる。そして見事にPKを決める。
宇野と小津はどんな言葉をかわしたのかが、謎として残る。
それを知りたいと思い、秘書に調査を依頼した大臣がいた。

「超人」
本田毬夫はある時から特殊な能力を身に付ける。
それは、サッカーの結果が送られてくる携帯画面に、結果とは違う名前と住所、日付、数字が書かれているのが見えること。
始めは何か分からなかったが、やがてある事に気が付く。
そして、世の中の為、あることを実行して行く。

過ちを認めることから物事は始まる。

「密使」
僕と私の物語が交差する。
未来を救う為のプロジェクトにともに係っていた、僕と私。
僕、三上は握手をした相手の時間を盗める特殊能力があった。
ある時、その能力を活かし、過去を救う為の使命が与えられる。






3編とも関わりはあるので、ひとつの長編としてとらえることも出来る。
しかし、どれもが曖昧なままの終わり。
起承はあるが、転の半分くらいで結はない、ような。
伊坂さんが好むカリスマ政治家も登場する。

『臆病は伝染する。そして、勇気も伝染する』
これが、この物語の中で印象に残る。
何かで決断を迫られる。
しかし、それを決めるには他からの圧力があり、真っ直ぐに自分の気持ちでは決められない。
そんな時、どうするのか。

世界はドミノ倒し、と言う事もあるかも知れない。
ひとつ、背中を押せばそれが次々と影響をして、世界を変えて行く。
ただ、これも何となく中途半端だ。
本の表紙がドミノなので、重要には思えるのだが。
ドミノのように、真っ直ぐに進んで行くのではなく、脇道も多い絡まった物語。
そして、他からの圧力と言うか、目に見えない何かがこの物語を支配している。
それが曖昧だから、すっきりしないのかも。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「打ち砕かれた昏睡」   ... | トップ | 「夜を希う」   マイクル... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事