一花一葉  NewTraditonal IKEBANA 

徒然なるままに・・季節の植物に 心を遊ばせて

1308-なつめの砂糖煮

2013-08-21 | 生け花
  庭に20年前から4メートル位に育ったなつめの木があります。毎年、2センチ程の楕円の美しい形をした実を沢山つけます。
"なつめ"には一つの思い出があります。私は、父の仕事の関係で昭和16年に上海で生まれましたが 戦争の激化に伴い蘇州に疎開をしました。終戦も間近な頃だったと思います、そこは日本人が経営する旅館で庭になつめの大木がありました。沢山の実がなっていて、寄宿している大人たちと一緒にその実を収穫する事になりました。
 揺り落とされる中国のなつめの実は、梅の実くらい大きく 私は防空頭巾を被ってその場に出て行きました。大人達は、それを見て大笑いをしていました。子供心にも、不安で重苦しい毎日だったので、ひと時 和やかに楽しかったその時が 私の防空頭巾のエンジ色の花柄までもくっきりと記憶に刻まれています。
 少し色づき始めた実を見上げながら、平穏な生活の中で「なつめの砂糖煮」を作れる日々に感謝しています。なつめは少し野趣のある懐かしい味で 薬効もある様です。

 花材 ・なつめの枝 ・モカラ 
 花器 ・角花瓶