一花一葉  NewTraditonal IKEBANA 

徒然なるままに・・季節の植物に 心を遊ばせて

1905- 卯辰山の紅葉

2019-05-23 | 生け花
 我が家の玄関に、紅葉の鉢植えがあります。その緑色の繊細な 切り込みのある葉が涼しげに揺れています。この紅葉、十数年前に妹と 金沢市の東 卯辰山にある紅葉谷を訪れた時 5センチ足らずの小さな双葉の紅葉を見つけ 持ち帰り育てたものです。

 この紅葉谷は、私たち姉妹の母方のルーツのゆかりの地で 一族がキリシタンであった 曾祖母の頃に さかのぼる話です。
キリシタン禁止令にも屈しなかった一家が、長崎から当時の加賀藩に お預けの身になった事から始まります。
 その後、一家の中の一女性と この紅葉谷を護る 加賀藩の奉行の中の一人を父とする 私たちの祖先である 女の子が誕生したそうです。キリスト教が解禁になった後、一家はこの女の子を連れて大阪を経由して長崎に帰って行ったとのこと。
 この加賀のお奉行様は、キリシタンの清らかで慎み深い生活ぶりに感動し 自身もキリスト教に改宗されたと聞いています。

 私の甥が、以前に自身の母方のルーツに興味が抱き 私の母が長崎に生まれた時 洗礼を受けた教会から始まる 追跡調査の旅で辿り着いた結果の話です。
 岡山から、転居するに辺り 転居先の神戸のマンションのベランダでは この潮風に この紅葉は耐えられないと思い 岡山での長いお付き合いの友人へ お譲りする事にしました。

 今も紅葉谷では変わることなく、キリシタン殉教の地と言う 石碑の周りには叢が生い茂り 静かな初夏の風景が 歴史をひっそりと伝えていることでしょう。

 花材 ・蛍ふくろ ・つつじ ・山帰来 ・一ッ葉
 花器 ・高取焼建水 静山作



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