「3級」からが、将棋はより楽しい! ボンクラ上達法 初段まで一歩手前編

2021年09月04日 | 将棋・雑談

 「ダラダラしながら初段になりたい!」

 

 という、ふざけ……自分の人生に嘘をつきたくない真摯な将棋ファンのため、茫洋と二段になった私が、アドバイスできることはないか。

 ということで、私的「楽して上達法」を紹介しているところ(激辛道場編は→こちら 高校で詰将棋マニアとの出会い編は→こちら ネット将棋で大ブレイク編は→こちら)。

 前回は、

 

 「ボンヤリと棋譜並べ+ネット将棋」

 

 という、私的有段者への道を紹介してみたが(→こちら)、この経験から言えることは、

 

 「自分が楽しくできる勉強だけで、初段くらいならいけるかも」

 

 よく、初心者向けの「将棋入門」や、プロのアドバイスなど訊くと、

 

 


定跡をおぼえて、得意戦法を作って、簡単な詰将棋を解いて、あとはプロの対局を鑑賞して参考にしつつ、実戦を指しまくればいい」


 
 

 まさに、ぐうの音も出ない「正解」であるが、われわれボンクラからすれば、

 

 「それができりゃあ、世話ないよ」

 

 そこで私は、自分もやった「一点突破型」をすすめるわけだ。

 上記の勉強法のすべては無理でも、楽してというか、さほどストレスなさそうなやりかたを、ひとつだけやる。

 

 「定跡のマスター」だけ

 「得意戦法を磨く」だけ

 「詰将棋」だけ

 「観戦」だけ

 

 それだけで、まず3級にはなれます。

 事実、「棋譜並べだけ」の私と、先日登場いただいた、「詰将棋だけ」の友人コウノイケ君(詰将棋マニアな彼との出会いは→こちら)は、他がスカスカでも、それくらいの棋力はあったと思う。

 というと、「3級ねえ……」とテンションの上がらない方は、おられるかもしれないが、なかなかどうして、3級をあなどってはいけない

 というのも、だれかと指したり、また自分自身の経験でもわかるが3級というのは、

 

 「将棋をある程度、玄人っぽく楽しむ」

 

 ということが、可能になってくるラインだからだ。

 将棋というゲームは、ルールおぼえたての、10級同士の遊びでも十分おもしろいが、ある程度の棋力が備わると、より「深み」「厚み」が増してくる。

 その第一段階が「3級」ではないかと思うのだ。

 これくらいになれば、自分で指していても、ちゃんときれいな駒組ができて、「手筋」「格言」通りの手が指せる。

 最後の詰みも、ちょっと詰将棋っぽい手が披露できたりすることもあったりして、なんというのか、

 

 「いわゆる、プロとかのっぽい将棋」

 

 を楽しめるようになるのだ。

 テニスでいえば、子供用のスポンジボールで遊んでいたのが、曲がりなりにも公式のボールで、ちゃんとしたコートでプレーできるようになる感じ、とでもいうのか。

 

 「公式戦に出て、それなりな試合の形になる」

 

 というくらいが3級のイメージだから、なかなかのもんでしょ?

 さらにいえば、観戦していても、そこそこ予想手が当たるようになったり、解説でいう、

 


 「先手優勢ですけど、勝ちやすいのは後手かな」

 

 「ふつうはこうですけど、○○九段ならこうやりそうですね。ほら、当たった」

 

 「AIはこう言ってますけど、人間的には怖くて指せませんねえ」


 

 みたいな、感覚的なものが、なんとなく理解できるようになったりも、3級くらいからではないか。

 具体的には、昨年の竜王戦第3局で、羽生善治九段豊島将之竜王に、評価値で90%以上の数字をたたき出しながら、そこから敗れてしまった。

 それを

 

 


 「まさかの結末」

 「必勝からの大逆転」

 「ついに羽生もおとろえた」


 

 みたい記事や、ファンの声が聞かれたりしたわけだが、コアな将棋ファンは、

 

 「あそこで▲94角は、指せないよなー」

 

 ということが、なんとなく理解できてたりするから、

 

 「いやー、あれを負けても、羽生さんのせいじゃないよ」

 「むしろ、折れずにヒタヒタと追い上げていった、とよぴーの精神力と勝負術をほめるべきやんね」 

 

 てな気になるわけで、そのラインが「3級」くらいなんじゃないかと。

 

 

 2020年の第33期竜王戦、第3局。

 羽生が優勢ながら、豊島もいやらしくねばって、超難解な終盤戦。

 ここで羽生が指した▲53銀が敗着で、AI推奨の▲94角とすれば、先手が勝勢に近かったが、これが「詰めろ」だと看破するのは超難解で、現に両対局者とも「後手勝ち」で一致していたそう。

 3級くらいになると、「いやー、ここで角は人間にはムリっしょ!」とか、語っちゃえるようになって、通っぽい気分が味わえ楽しい。

 

 
 また昨年度、王位戦第2局とかも、

 

 


 「藤井聡太、大逆転勝利」


 
 

 て書かれてたけど、あれだって、

 

 「評価値は圧倒しても、あそこから勝ち切るのは、実はかなりの難問やねんなー」

 

 「藤井のがんばりもすごかったし、木村王位が足を踏み外しても、決しておかしいことではないよなあ」

 

 とかね。

 「まあな、オレくらいになると、そのへんは、だいたいわかんねん」と。

 

 

 

 2020年の第61期王位戦、第2局。

 飛ぶ鳥落とす勢いの藤井聡太を、木村一基王位が圧倒。

 途中から、ずっと先手勝ちだったが、評価値の数字以上に局面がむずかしかったことと、藤井七段の巧妙なねばりもあって、木村は勝ち切れず。

 でも、これをもって「木村がヘボい」とは思わないくらい、この終盤戦の難解さ(と、おもしろさ)を感じれられるのが、3級くらいから。

 

 

 要するに、「3級」になると、

 

 「ここから将棋が、またさらに、10倍くらい、おもしろくなる」

 

 だからまず、初心者は初段の前に「3級」を目指すべきで、それなら私やコウノイケ君のような

 

 「わがまま一点突破勉強法」

 

 でもクリアできる。

 でもって、そこからさらに「初段」を目指したければ、あとは実戦を指しまくればよい(「実戦だけ」で3級になった人は、他の勉強法をチョイ足しすればよい)。

 私はそれで二段だし、コウノイケ君も大学で将棋部に入り、実戦に目覚めたら、一瞬で三段になった。

 それもこれも「棋譜並べ」「詰将棋」という触媒があったおかげで、一気に花開いたわけだが、2人とも別に「勉強」しようと思って、やっていたわけではない。 

 ただただ、のほほんと自己流で将棋に接していたら、それが知らぬ間に「下地」になっていただけだ。

 肩肘張らなくても、3級なら行けるし、

 

 「将棋をちょっと専門的に楽しむ」

 

 なら、これでも充分。

 初段はハードルが高いという人は、まずここを目指してみては、いかがであろうか。

 

 (続く→こちら

 

 

 

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