世に「不発弾マニア」という人がいるという。
前回(→こちら)はパイプを愛する「パイプマニア」について語ったが、今回は不発弾。
文字通り不発弾のマニアである。
文字通りといわれても困るだろうが、たしか関西ローカルのラジオ番組『サイキック青年団』で聴いた記憶がある。
資産家だったこのマニアは、どういうルートかは知らないが、あらゆるところから不発弾を集めてきて、コレクションしていたそうである。
でもって地下室で、その不発弾を元自衛隊爆発物処理班にいた人に信管撤去作業させ、それをバスローブ姿で見ながらブランデーを飲むというのが趣味であったというのだ。
地下室、爆弾、軍人、バスローブ、ブランデー。
最後のふたつは明らかに「盛ってる」と思うけど、それを抜きにしても因果な世界である。
地下室のイメージといえば、パノラマ島が広がっているか、殺しアリの地下プロレスが開催されているというのが相場だと思うが(どこの相場だ)、不発弾解体ショーという選択肢もあったか。
この不発弾マニアのおっちゃんが、何を楽しんでいたのかはよくわからない。
純粋な不発弾好き(というのもよくわからんが)だったのか、一歩間違えれば死というスリルがよかったのか、それとも
「決死の覚悟で爆破を阻止しようと懸命な元自衛官萌え」
といったさらに二重三重にマニアックなものだったのか、もしくはその全部だったのかもしれない。
案の定というか、この不発弾マニアの人は元自衛隊員が処理をミスして爆発させてしまい、それが元にコレクションが次々誘爆して爆死したそうな。
ジャボチンスキー将軍もかくやの壮絶な死に様であったことだろうが、この人にとって、これほど「本望」という死に方もないことであろう。
まあ、近所の人はえらい迷惑でしたでしょうけど。
まったくもって色々な人がいるもので、げに深きは不発弾マニアの世界なのである。
(次回スイッチマニア編に続く【→こちら】)