「旅に出たい病」は不治の病である。
今でこそ、若いころのような
「世界の果てまで行きたいぜ!」
といったギラギラ感こそなくなったが、自分でも「病気やなあ」と思うのが、他人の旅行話を聞くとき。
ふだんボンクラで、物欲などもとぼしいタイプだが、旅の土産話だけはNGで、
「夏休みはハワイに」
「年末は暖かいニュージーランドで過ごす予定」
なんて聞くと、
「ふざけるな! 強盗にでもあったらええねん! ……てゆうのは、ちょっとかわいそうやから、ホテルの予約に失敗して、当初の予定より、ちょっとだけせまい部屋に案内されろ!」
なんて、小さなスケールで呪いをかけることになる。
こんなことをやっていると、精神衛生上悪いうえに、周囲からも、
「なんと器の小さい男であることか!」
バカにされまくることになるので、できれば避けたいところだ。
解消法で一番簡単なのは、
「自分も旅に出ること」
というのが、100%正義の結論だが、お金やお休みの問題もあって、そうもいかないことも多い。
そもそも、今はコロナだ。どうせえっちゅうねん。
そこで最近ハマッているのが、YouTubeなどに上がっているゲーム動画の異世界。
これなら、気軽に「旅行」できるし、なにより自分だけでなく、だれもが
「本当に行くことはできない」
から、いちいち妬まなくてもすむという算段だ。
なんという斬新なアイデアなのか。まさに、天才あらわると言えよう。
お気に入りは、『アサシン クリード』というゲーム。
この舞台が18世紀のパリとか、オスマン帝国のイスタンブールとか、いちいちツボなのだが、最高なのが古代ギリシャ。
他のヨーロッパは、やはり「暗黒時代」的ななごりか、やや陰鬱な画面になる。
それこそ、映画『キングダム・オブ・ヘブン』のように、中世ヨーロッパをあつかった映像作品はたいてい曇り空で、寒々しいのだ。
まあ、それが雰囲気出てるんだけど、その点、古代ギリシャは建物や街並みも荘厳。
南国ということで、全体的に暖かそうだし、なにより海がキレイ!
ハードな「ゲーム」としては、過酷な環境の方が燃えそうだが、ブラブラ歩きをするなら、やはり、ゆるい土地の方がラク。
しかも、古代ギリシャには、NHKなどでおなじみの、古代ギリシャ研究家藤村シシンさんが解説してくれている動画もある(→こちら)。
これが実に楽しい。
藤村さんはトークも上手で、ライムスター宇多丸さんのラジオなどでも爆笑をさらっているほど。
ぜいたくを言えば、もっと「ポスチオン」がらみのお話も聞きたいものだが、それはしょうがないだろう(どうしょうがないかは検索してみてネ)。
「観光案内つき」で、今では絶対にいけない古代世界を堪能できるんだから、旅好きにとって、こんな極楽はない。
他にもベタに、ビザンツのコンスタンティノポリスとか、ヴィクトリア朝ロンドンに、遣唐使がのぞいた唐とか、アケメネス朝ペルシャとか、ベルリン黄金の20年代とか、古代クメールとか、ベル・エポックのパリとか、グレートジンバブエとか、大航海時代のアムステルダムとか、平安時代の京都とか。
歩いてみたい街はいっぱいあるぞ。
それこそ、「『アサクリ』観光で世界地図」みたいなソフト、作ってくれないかしら。
地図をクリックして、
「1552年 神聖ローマ帝国 ドレスデン」
とか入れると、その街を歩けるの。マジで欲しいッス!
★おまけ 「ポスチオン」の話が山盛り聴ける、宇多丸さんのラジオでの「夏のギリシャ祭り」2016(→こちら)と2017(→こちら)