前回(→こちら)の続き。
1998年1月。
あこがれのテニス、オーストラリアン・オープンを観戦しに、メルボルンの地を踏んだ私。
オープニングマッチは、前年度優勝者のピート・サンプラスが務めるはずなのに、そこにあったのは聞いたこともない「Lleyton Hewitt」という名前だった。
これにはガッカリしたのなんの。
だれやねん、この「ルレイトン・ヘウィット」とか言うやつは。
地元の選手かなんか知らんけど、こんな遠い国からわざわざ観戦しに来たファンをなめるようなことするとは、なに考えとるのやオーストラリア人!
すっかり、ふてくされまくっていたわけだが、みなさまはもう、私がいかに阿呆であったかがおわかりですよね。
「Lleyton Hewitt」
日本語表記すれば、「レイトン・ヒューイット」。
のちにウィンブルドンとUSオープンで優勝し、世界ナンバーワンに輝くオーストラリアの英雄の、世界デビュー戦が組まれていたわけなのだ。
当時のレイトンはまだ16歳ながら、この年の1月にプロ転向。
しかも、開幕戦のアデレード国際で見事優勝を飾るという、鮮烈デビューを果たしていた。
そして、堂々の地元グランドスラム登場。
とんでもない大型新人であり、オージーテニス界が満を持して送りこんできた金の卵だったのだ。
はあ、そりゃピートを押しのけての開口一番も、納得の話題性やなと。
と、今ではわかるんだけど、当時の私はヒューイットのことなどまるで知らず、どこまでいっても「誰やねん」状態。
これには、ただただ自分の不明を恥じるしかないけど、でも知る機会もなかったのよ。
だって、そのころの私は『テニスマガジン』を定期購入して、それこそ穴が開くほど熟読してたものだけど、レイトンのことなんて載ってなかったものなあ。
コラ! テニマガ編集部、しっかり取材しとかんかい! おかげで未来のスターを見損ねたやんけ!(←ただのクレーマーです)
しかもこの試合は、レイトンが2セットダウンから巻き返して、ファイナルセットまでもつれこむという大熱戦だったのだ。
しまったあ! なんで見にいけへんかったんやあ!
後の祭りとはこのことだ。ちなみに私は、大阪で開催された2005年世界スーパージュニア選手権で、錦織圭選手も見損ねている。
ジュニア時代から
「錦織とかいうすごい子がいる」
といううわさは聞いていて、機会があれば見たいものだと思っていたところ、私の地元大阪にやってくるとの情報が。
これは、ぜひ駆けつけねばと盛り上がったが、スケジュールがつかず、結局その年のスーパージュニアには1日も遊びに行けなかった。
残念だと思いながらも、新聞で見たらベスト4で負けていて、
「なーんや。すごいと聞いてたけど、案外こんなもんか。実は評判倒れやったかな。別に、わざわざ見るまでもなかった。冴えてるな、オレって」
なんて、すましていたのだから、今振り返っても何をかいわんやである。
その後の錦織圭選手の大活躍は、皆様もご存じのとおり。
しまったあ! なんであんとき万難排しても靭公園テニスセンターに足を運ばんかったんやあ!
どこが冴えてるねん! 阿呆や、阿呆や、ワシは三国一の大バカ三太郎やあああああああ!!!!!!
かくして見る目のない私は、せっかくチャンスがありながらも、2人のスーパースター選手を見損ねたわけだ。
まったくおしいことをした。もしあのとき、もうちょっと私に見る目があれば、今ごろは、
「レイトンか? ああ、生で見たよ。半分ツレみたいなもん。オレみたいな通は、たいていこういうのはデビュー前からチェックしてんねん(←どこがだ)」
「あの錦織な、あいつも今はがんばってるみたいやけど、オレが育てたようなもんや。今度、店に呼んだろか」
なんて女の子のいる飲み屋とかで自慢などできたのに。もうトホホのホである。
ちなみに、レイトンの代わりにどの試合を見ていたのかといえば、たしかティム・ヘンマン対ジェローム・ゴルマール(昨年お亡くなりになっておどろいた)戦じゃなかったかなあ。
これもファイナルに突入する激戦で、最後は11-9のマラソンマッチの末ゴルマールが金星。
熱中しているうちに、開幕戦のことは忘れちゃったんだろう。
他にも、98年大会のドロー表を見ながら思い出してみたら、はっきりとはしないけど、ゴーラン・イバニセビッチがヤン・シーメリンクにやられた試合は観てたと思う。
あとはトミー・ハース対アルベルト・コスタとか、レアンダー・パエス対ミカエル・ティルストロム。
あと、バイロン・ブラック対フェリックス・マンティーリャ戦は押さえているはず。
だいぶ前のことだから、はっきりとは記憶にはないけど、たぶんそう。
だって、モロに私好みのカードだもん(笑)。
そうか、こんな渋いところばかりチェックしてるから、スター選手を見逃すんだな。
でも、トッド・ウッドブリッジ対フィリップ・デヴルフとか、ふつうに見たいよなあ。
今年の全豪でレイトンはサム・グロスと組んでダブルスで復帰するらしいけど、生は無理としても、テレビでもいいから見られなものだろうか。