海外旅行であう詐欺って気づかないものなの? イタリアのローマ編

2020年12月15日 | 海外旅行

 「外国の詐欺って、だまされてもわからんもんなん?」

 

 ある日LINEで、そんなことを訊ねてきたのは友人バンダイ君であった。

 なんでも彼は、最近「海外旅行のトラブル話」みたいな本を読んだらしく、

 

 「ああいうのってさ、美人局にだまされるとか、睡眠薬飲まされて荷物取られるとか、ニセ警官がワイロ要求とか、よう聞く話やん」

 

 そこで思ったわけだ。

 

 「でも、ああいうのんって、ガイドブックとかにもかならず書いてるもんばっかりやのに、なんでダマされるんやろって不思議でさあ」

 

 たしかに、こういった旅先での被害は、話に聞くと不思議に思う人は多かろう。

 バックパッカー専門誌『旅行人』編集長の蔵前仁一さんがリツイートしたのをはじめ、一時期旅行好きの間で話題となった、写真家三井昌志さんによる記事

 

 「コルカタの詐欺師ラージ」

 

 (詳細はこちら→こちら)などを読んでも、

 

 「典型的な詐欺ですやん」

 「高額のディポジット取られたところで、気づきそうなもんやけど」

 

 なんて感じてしまうかもしれないが、これに関しては私も頭をかきながら、

 

 「いやそれが、現場におると案外わからんもんですねん」

 

 今から15年以上前のこと、私はイタリアに旅行をした。

 滞在地のローマで夜、買い物に出かけたところ、若い白人男性から声をかけられた。

 

 テルミニ駅はどこですか?」

 

 こちらと同じ旅行者だろうか。外国の街で、暗くなってから道に迷うのは不安だというのわかるので、

 

 「テルミニ駅はこちらである」

 

 案内してあげると白人男性はよろこんで、

 

 「ローマにくわしいんですね。あなたはイタリア人ですか?」

 

 そんなことを言ってから、

 

 「お礼に一杯おごりたい。知り合いがやっているいいバーがあるから、そこで飲みませんか?」

 

 お誘いを受けてしまった。

 異国の夜はヒマだし青年はとてもいい人に見えたし、これもまた旅の出会いかということで、すこぶる魅力的な話だったけど、このときは同行者が体調をくずしており心配だったため、申し訳ないがお断りすることにしたのだ。

 宿に帰って、同行者に「こんなことがあってさあ」とこの話をすると、

 

 「えー、それって絶対に怪しいって!」

 

 私の買って来たオレンジを食べながら(イタリアのオレンジは安くてメチャウマです)、そんなことを言うのである。

 これには私も「いやいや、ふつうの気のいい青年やったよ」と反論するも、

 

 「いや、おかしい。行かんでよかったよ。なんか危ないことあったかも」

 

 たしかに、考えてみれば変なところもある。

 青年が道を訊いてきたのはテルミニ駅と目と鼻の先だったし、「イタリア人ですか?」という質問も意味不明だ。

 私にそういう感覚はないが、世の中には

 

 「白人と思われる」

 

 ことをよろこぶ人がいるかもしれず(タイインドでは「色が白い」ことがステータスだったりする)、そう見ればお世辞ともとれるし、そもそもテルミニ駅も見つけられない人が、

 

 「知人のやってるバー」

 

 に誘うというのも、筋が通らない気もする。

 でもねえ、このときはそれでも「あやしい」なんてことは毛ほども思わず、

 

 「ふつうに迷子になっただけでしょ」

 

 最後まで言い張ったのであった。

 そのカラクリが解けたのは、ローマを出て、他の街へ移動したときだった。

 

 (続く→こちら

 


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