施川ユウキ『バーナード嬢曰く』が好きである。
ということで、
「このマンガに出てきた本を何冊読んだか数えてみよう」
との企画。前回の2回目に続いて、今回も2巻の第3回。
■『異邦人』カミュ(未読)
沢木耕太郎の影響で手に取ったが、20ページほどで挫折。
■『怪人二十面相』江戸川乱歩(読了)
乱歩チルドレンなので、そりゃもう読んでます。仏像に変装した小林少年萌えジュブナイル。
■『孤島の鬼』江戸川乱歩(読了)
乱歩先生のエッセンスが詰まった大傑作。
真犯人の壮大なる夢に戦慄するとともに爆笑。
オーケンも言う通り、乱歩を「アート」としてとらえたがる連中は大乱歩先生のことをまったく理解してない。
先生の本質は「バカ」であり、ときにそれをいたずらっぽく、ときに大マジメにやってるのがいいんじゃないか。
■『ペスト』カミュ(未読)
『異邦人』挫折組なので手を出さず。
■『はつ恋』ツルゲーネフ(未読)
そういや、ツルゲーネフって読んだことないなあ。
内容は知らないけど、きっと田中英光『オリンポスの果実』のようなナルシシズム・ネチネチ系と見た。
■『ジーキル博士とハイド氏』スティーブンスン(未読)
古典だから「読了したっぽい雰囲気」になってるよね。
■『二十日鼠と人間』スタインベック(未読)
なぜか妹が読んで、おもしろかったらしい。
■『春琴抄』谷崎潤一郎(読了)
高校生のころ読んだ。先端恐怖症の人は注意。
谷崎は『痴人の愛』がバカっぽくて好き。
ギャルを調教しようとしたけど逆に奴隷にされて、でも「それはそれで楽しいからOK!」ってあらすじだけ聞いたら、すごく読みたくなるでしょ?
■『サロメ』オスカー・ワイルド(未読)
高校生のとき読んだ記憶があるけど、読んでない気もする。どっちだろう。
なんか、落語の『皿屋敷』みたいな噺だよね?(絶対ちがう)
■『ハイ・ライズ』J・G・バラード(未読)
ニューウェーブは読んでないけど、たぶん苦手。
■『ファイト・クラブ』チャック・バラニューク(未読)
映画版を熱く語る人は友人に多い。
「肉体的な強さへのあこがれ」ってのが、全然自分にはないあな。
■『カッシアの物語』アリー・コンディ(未読)
未読。
■『火刑法廷』ジョン・ディクスン・カー(読了)
高校生のころ読んで、メチャクチャおもしろかった。
でも、その後長くカーを読まない時期が。翻訳のせいかな? 今は読みまくり。
■『皇帝の嗅ぎ煙草入れ』ジョン・ディクスン・カー(読了)
大人になって新訳で読んだ。傑作。
■『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』ウィリアム・ブリテン(読了)
こういうバカミスは大好き。
■『六枚のとんかつ』蘇部健一(未読)
「これから、おもしろいことやりまっせ」感がどうもなあ。
将棋見てても、「これからボク、ひょうきんなこと言いますよ」感が出すぎな人多すぎ!
■『火星の人』アンディー・ウィアー(読了)
絶望に対して徹底して「知恵とユーモア」で立ち向かう主人公の姿に感動。
■『サンリオSF文庫総解説』(読了)
図書館で借りて読んだ。サンリオには全然ひっかかってない世代。
■『21世紀の資本』トマ・ピケティ(未読)
経済について語るには避けて通れない人らしいが、経済について語らないので読んでない。
■『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ(未読)
映画は良かったです。
■『電気風呂の怪死事件』海野十三(未読)
青空文庫収録作は、どうしてもあとまわしになってしまう。
■『万物理論』グレッグ・イーガン(未読)
SFファンの前で、イーガンにピンとこないというのは、とてもとても勇気がいります。
■『競売ナンバー49の叫び』トマス・ピンチョン(未読)
読んだふりをしたい人は、池澤夏樹『現代文学を読みほどく』がオススメ。
■『走れメロス』太宰治(読了)
勝手に「激怒」したあげくに、死刑を延期してもらう理由が「結婚式に出たい」だったり(出てから「激怒」しろ!)、そのエゴでセリヌンティウスを人質に差し出すし(鬼か!)。
あげくに、飲み食いしすぎて寝坊し遅刻しかけるとか、メロスのバカっぷりに本を投げそうになる。
……て、今気づいたけど、この物語の主人公って、きっとセリヌンティウスだったんだな。
「どんな愚かで自分勝手な男だろうと、キミは友を信じるべきだ」。
テーマはこれだと思ったら、石持浅海『セリヌンティウスの舟』が似た感じで解釈してて「やっぱり」と。
これ、カットバック形式で、2人の心境を交差させて書くという設定にしたら、作者によっていろんな書き方がありそうだ。
(3巻に続く)