フアランポーン駅が移転することになったらしい。
フアランポーン駅とは、タイの首都バンコクにあるタイ国鉄の駅のこと。
観光都市であるアユタヤや、マレーシア、シンガポールに行く国際列車の起点ともなっており、私のようなバックパッカーにはなじみの存在だ。
元『旅行人』編集長である、蔵前仁一さんのTwitterによると、これから駅の機能はバーンスー中央駅に移り、フアランポーンはミュージアムになると。
そっかあ、あそこがねえ、なんて旅情を誘われる私が、この駅と聞いて思い出すのが、
「全然、駅名が通じなかった」
もう20年近く前のことだが、はじめてタイに行ったとき、フアランポーン駅に行く用事ができたのだ。
そこでトゥクトゥク(タイ名物のバイクタクシー)に乗って飛ぼうとしたのだが、「どこに行く?」と聞かれての、
「フアランポーン・ステーション」
というのが、まったく通じなかったのだ。
たしかに、私もトゥクトゥク運転手のおじいさんも、英語に堪能な方ではないが、それにしても通じない。
「どこ行くねん」との問いに、「フアランポーン」と応えても、「え?」。
あー、言葉が足らんかったかと、「フアランポーン・ステーション」といっても、「え?」。
どういうこっちゃと、
「だからぁ、フアランポーン。レイルウェイ・ステーションの。トレインの。わからんかなあ。ビッグなステーション。ビゲスト・ステーション・イン・バンコク言うたらええんですか? つまり、このシティのセントラル・ステーションですやん!」
言葉をあれこれ変えてトライするが、どれも
「え?」「ワシ、わからん!」。
鈍いやっちゃなあ。
とここで思い浮かんだのが、発音のこと。
そうか、私のイントネーションが悪いのだ。日本語のような母音重視の発音では、英語を始め、外国では通じにくいというのは、よく聞く話。
やはりここは、現地語っぽくやればよかろうと、見様見真似でタイ人っぽく「ファランポーン」と言ってみたが、これもダメ。
そうか、タイと言えばチャイナタウンが充実しているように、中華な文化の影響も強い。
そこを突けば突破口が開けるかと、ジャッキー・チェンの映画を思い出しながら中国語風に「ふぁーらんぽーん」とやってみたが、またも通らず。
運ちゃんは「哀れな人」を見るような目で見てくるし、一緒に居た友人は大汗かいてインチキ中華風タイ語(?)を駆使する私がマヌケすぎて、ゲラゲラ笑うしで、もうなにがなんだか。
てか、あんたもタクシー運転手やったら、「フアランポーン」みたいなメジャーな場所の名前は知っとけよ!
そもそも、外国人観光客も多いねんから、「ステーション」くらいの頻出英単語はおぼえといて!
いや、別に英語が母語でもなんでもないところで、英語の知識を求めるのが筋ちがいなのは、私も理解してるけど、それにしてもタイのバンコクといえば、旅行者から人気、特にバックパッカーのメッカでもある。
なんぼ日本人が、英語苦手や言うても、大阪の運ちゃんに
「ウメダ、ステーション、オネガイシマース!」
言うたら、どこ行きたいかくらい、わかるっちゅうねん!
なんて、あのときは怒ったものだが、今回のニュースを受けて調べてみると、どうもあの駅は「フアランポーン」とはいうものの、正確には、
「クルンテープ駅」
という名前だったそう。
「クルンテープ」とはバンコクの正式名称で(「バンコク」は外国人がつけた名前で、「ジパング」みたいなもん?)、なるほど、じゃあ、あの運ちゃんにも、そう言えば通じたのか……。
嗚呼、僕が、もっとタイ語を勉強しておけば、よかったんですが(ママタルトのひわちゃん風)。
でも、観光都市バンコクで「フアランポーン・ステーション」が通じないとは、さすがに思わないもんなあ。
とかなんとか、ニュース読んでたら、思い出しちゃったよ。
あー、コロナ明けたら、タイ行きたい。
(続く→こちら)