コロナで世界が大変である。
友人などに連絡を取ってみると、ため息をつく人もいれば、昨今流行りのZOOM飲み会をやっている人など様々。
で、こういう話をしていると、かならずと言っていいほど
「外に出えへんで、どうやって1日すごしてんの?」
という話題というか情報交換になるので、今回も日記形式で自宅待機大型連休をレポートしてみたい。
■5月のある休日
朝10時起床。起き抜けにポン・ジュースとインスタント・コーヒー。飲みながらスマホをいじる。
天気予報とニュース。この状況がいつまで続くかわからないが、ケンカと薄汚ねえ火事場泥棒だけはやめてほしいなあと思う。
クールジャパンのこととかね。
朝食は紅茶、バナナ、クロワッサンにゆでたまご。BGMは古いフランスの曲。『巴里祭』『巴里の屋根の下』。
午前中はDVDを観る。中古屋で買ったり、昔ダビングしたものが山ほどある。
こういうのは「手元にあると、いつまでも観ない」という罠というか「あるある」があるので、いい機会だからあさってみる。
当然、昔観たものが多くなる。今日はビリー・ワイルダーの『熱砂の秘密』。
ドイツ軍のエルヴィン・ロンメル役をエーリヒ・フォン・シュトロハイムが演じてるんだけど、こんな似ても似つかない配役というのもめずらしい(笑)。
ただやはり、シュトロハイムは雰囲気ありまくりの役者なんで、ある意味ハマり役でもある。
手に持ってるハエたたきが、妙にキャラとマッチしている。いい映画。
なんとなく本棚の整理をして、昼食。
うどんをゆでて、卵、ネギ、ワカメ、コロッケ、豆腐など冷蔵庫のあまりものを全部つっこんで、ヒガシマルのダシと熱々の湯をそそぐ。
雑すぎる鍋焼きうどんだが、「男のメシ」という感じもして悪くない。
食べながら、BS世界のドキュメンタリー「ヒトラーユーゲント ナチス青少年団の全貌」を見る。
「NSDAP(ナチスの正式名称)あるある」に、
「当時のドイツ人の写真を見ると、ものすごく幸せそうな笑顔を見せているものが多い」
というのがあるんだけど、大人もそうだろうけど「ヒトラーユーゲント」にハマる子供たちがいることも、なんとなしに理解はできる。
そら、みんなでキャンプしてハイキングしてスポーツ大会やって、勉強は重視されず、しっかりしたタテ関係にカッケー制服。
カリスマ的指導者もいて、そんなもん男子の役満そろってますもんね。
少年マンガが描く、理想の運動部みたいな世界。文化系の私は絶対イヤですが。こいつら、本焼くし。
食後は少し昼寝。寝つくまで、シーツにくるまりながらブログのネタを考える。
私はこのページをバズらせようとか、フォロワーを増やそうとか、そういったことはほぼ考えていないので、内容は思いつきで本当に一貫性がない。
SNSで人気のある友人からは、よく「テーマをしぼったほうがいいよ」とかアドバイスされるけど、それだと飽きるからなあ。
最近、将棋ネタを多くしているが、そもそも、藤井聡太七段のフィーバーがすさまじく、それだったらちょっとと「羽生世代を中心としたトッププロの大ポカ集」を書いてみたら、少し反応があって、ならばと「絶妙手編」もやってみて、そこで終わるはずだった。
それが、こんなに続くとは思わなかった。
まあ、将棋ブームが終わるかネタが切れたらやめるだろうけど、発表するというよりは、これを機会に古い資料を読んだりするのが楽しいのかもしれない。
こんなことなら古い『将棋世界』とか、『週刊将棋』のスクラップとか処分しなきゃよかった。
こと文化系人間は「断捨離」ブームなんかに乗せられてはいけません。
午後からはコーヒーを飲みながら、ひたすら読書。
私は本さえあれば無限に時間をつぶせる人間なので、こういうときありがたい。
今日は飯塚英一『旅行記作家マーク・トウェイン 知られざる旅と投機の日々』。
『トム・ソーヤーの冒険』や『ハックルベリー・フィンの冒険』の作者であるトウェインは一般的には
「ミシシッピ川を愛する、愉快で楽しいおじさん」
というイメージだが、それはあくまでトウェインの一部にすぎず、すぐれた旅行記をものし、また「文学的名声より、一発当てて金持ちになりたい!」という、かなり俗っぽいアメリカン・ドリーマーでもある。そもそもミシシッピ川の近くには、若いころの数年しか住んでいない。
また、なかなかアクの強い人だったようで、本の中で実在の人物をイジりまくったら激怒され、訴訟を起こされたり、死後に新聞の投書で反論されたり。
変な発明品で一発当てることに血道をあげていたら、大失敗して破産しかけるとか、『自伝』は自慢話と罵詈雑言しか書いていないという「老害」丸出しな内容で、トムやハックを愛するマジメな研究者を困らせているとか、飯塚氏のすばらしくリーダビリティの高い文章もあって、メチャクチャにおもしろい!
夕食。ご飯を炊いて、豚モヤシとキャベツのサラダ、卵豆腐。
こういうとき、辺境作家の高野秀行さんをはじめ、「メシだけ炊いておけばいい」という人もいるが、たくさん炊くと「ラップして冷凍」という手間がめんどくさくて、やらなくなってしまうことも多い。
そこで一時期「レンジでチン」のご飯を食べていたこともあって、最強なのは東海林さだおさんの本を参考に、
「ご飯をチンして、かつおぶしと醤油をかけて食べる猫まんま」
手間のコスパはすばらしいものがある。味つけノリをのせてもよし。おかずは納豆をパックのまま。
そういえば『OL進化論』の秋月りす先生は、「パックご飯にスライスチーズとキムチをのせてチン」をおススメしていた。とにかく、なんでものせればいいのだな。
食後はパソコンを開く。お茶しながら、YouTubeやラジオなど。古いテニスの動画。アンリ・ルコントの芸術的なプレーに、しばし酔いしれる。フェデラーとナルバンディアンのローラン・ギャロスでの打ち合いとか。
寝る前に少し読書。SFが読みたくなって、ロバート・A・ハインライン『人形つかい』を読み返す。
本好きやってると、よく「どんな本読んだら役に立つ?」とか訊かれるけど、SFはおもしろいうえに「相対的視点からの思考力と想像力」が鍛えられるから、強いんじゃないかなあとか、そんなことを考えながら眠りに落ちる。
〉〉巣篭もり生活でほとんど読ませていただきました。
メチャうれしいです! これからも、よろしくお願いします。
〉〉一番の後悔は将棋関連の本を捨ててしまったことです
日記にも書きましたが、私も処分しちゃいましたねえ。
まさか、「将棋ブーム」なんてもんが来るとは思いもしなかったもんで(笑)。
本は最悪、買い直せばいいですけど、『将棋世界』や『週刊将棋』は古いのになると、もう手に入らないんですよね……。
〉〉升田対大山、大山対中原、中原対米長、中原対谷川、谷川対羽生、羽生対森内、佐藤等々不滅の名勝負があったわけで、
最近、将棋に興味を持った方は羽生-谷川戦が「ゴールデンカード」と呼ばれていたこととか、きっとピンとこないんでしょうね。
今調べたら、『谷川VS羽生100番勝負』が復刊になってました。昔、並べたなあ。欲しいけど、すごく高い!
しかも品切れでした。買う人は高くても買う。エライ。
てか、谷川先生解説の『将棋図巧』が欲しい! だれか買って!
〉〉もうどこまでソフトで局面を煮詰めてきましたか?みたいな、もう将棋が別のものになってきた感じがあります。
たしかに、将棋は変わっていってるのかもしれません。
私もソフトに関しては素人なんで、着いていけない部分もありますが、それでもこれからどうなるかは興味深いところもあります。
SF好きということもあって、こういう「パラダイムシフト」に直面したとき、どういう変化が起こるのか知りたい。
そのためには、若手棋士を中心に、どんどん将棋界がそのおもしろさをアピールしてほしいですね。
そこをうまく解説できるしゃべりや文章が達者な人が、出てきてくれればいいんですけど。