題名からは弱い人々により添う内容と思いきや、この世界はどのようにできているのかということを考えさせてくれる本です。
とかく、強い生き物が生き残るのではなく、生き残ったものが強いのだと思いにくいのは、強さや弱さというあたりまえの言葉に価値判断がくっついていることが問題だと著者は問いかけます。
その言葉に潜む価値判断とは、近代化がもたらした科学技術や政治経済による進歩が勝敗を決めるという価値観であり、その力によって他者のみならず自然をも支配できると考える世界観なのかもしれません。
しかしながら、絶え間ない紛争や人類の生存そのものを脅かす気候変動を目の当たりにした現代社会において、そういった世界観そのものを見つめ直す時期に差し掛かっていると思います。
「生物たちは、『他の生物と少しずつ生息環境をずらしながら、自分の居場所を作っている』『居場所』とは、生態学で言う『ニッチ(生態的地位)、つまり、『ある生物種が生息する場所や範囲』のこと」(36頁)
ひょっとしたら、私たちが「居場所」と思っている現代社会は、生態学的な観点からは「ニッチ」とはいえないからこそ、様々な競争や葛藤があるのかもしれません。
「もし、動物が自らを捧げたなら、人は感謝の祈りを捧げ、与えられた肉の贈り物を受け取らねばならない」(68頁)
必ずしも原初の姿に戻るべきとまでは思わないものの、人間のみならず動物や植物といった自然はお互いの価値をなんらかの形で交換しあうという世界観をもつことは大切なことのような気がします。
初稿 2021/11/14
写真 武庫川 髭の渡し コスモス園
撮影 2021/11/14(兵庫・尼崎)
とかく、強い生き物が生き残るのではなく、生き残ったものが強いのだと思いにくいのは、強さや弱さというあたりまえの言葉に価値判断がくっついていることが問題だと著者は問いかけます。
その言葉に潜む価値判断とは、近代化がもたらした科学技術や政治経済による進歩が勝敗を決めるという価値観であり、その力によって他者のみならず自然をも支配できると考える世界観なのかもしれません。
しかしながら、絶え間ない紛争や人類の生存そのものを脅かす気候変動を目の当たりにした現代社会において、そういった世界観そのものを見つめ直す時期に差し掛かっていると思います。
「生物たちは、『他の生物と少しずつ生息環境をずらしながら、自分の居場所を作っている』『居場所』とは、生態学で言う『ニッチ(生態的地位)、つまり、『ある生物種が生息する場所や範囲』のこと」(36頁)
ひょっとしたら、私たちが「居場所」と思っている現代社会は、生態学的な観点からは「ニッチ」とはいえないからこそ、様々な競争や葛藤があるのかもしれません。
「もし、動物が自らを捧げたなら、人は感謝の祈りを捧げ、与えられた肉の贈り物を受け取らねばならない」(68頁)
必ずしも原初の姿に戻るべきとまでは思わないものの、人間のみならず動物や植物といった自然はお互いの価値をなんらかの形で交換しあうという世界観をもつことは大切なことのような気がします。
初稿 2021/11/14
写真 武庫川 髭の渡し コスモス園
撮影 2021/11/14(兵庫・尼崎)