祈り

3.11、日比谷公園。14時46分。黙祷。

僕は目を開けたまま、青い空を眺めていた。地震や津波の犠牲になった人たちの冥福を祈った。
そして黙祷が終わるまでの数分間、僕はネアンデルターレンシスのことを考えていた。きっと、先人と言われる人ならば誰でも良かった。僕らがこうして今を生きる、その礎を築いた存在ならば、誰でも良かった。僕らが生きる、この世界を切り拓いた存在ならば、誰でも良かった。頭に浮かんだのはネアンデルターレンシスだった。

「ごめんなさい」

心の中で、僕はそうつぶやいた。


デモ隊に加わるにあたって、何も武器を携えていなかったので、日比谷公園で行われていたイベント「ピースオンアース」の中にあったテントの親切な方から、「まゆみさん」というイラストレーターが描いた「enough～もう、じゅうぶんだ」のポスターを頂いた。
シンプルなメッセージほど、人の心の奥深くに届く。最強の武器を、僕は手に入れた。