革のブーツってのは、手入れをしっかりすれば、半永久的に保つわけ。
でも、半永久に保たないのは、ソウル。履けば履くほど、ソウルは減る。ソウルが減ったらさよーならー。
どんなに深い味わいが出てきたブーツもね、ソウルが減ったらさよーならーは悲しいんだよね。旅人がよく言う言葉。
アビレックスのヤマトという名のブーツを買った時、店員さんがこう言った。「このブーツはソウルが減ったら交換出来ますよ」。
どんなブーツもソウルの交換は出来るのだろうけど、メーカーが直々にやってくれるってのはあまり聞かない。・・・これは買いだな。
ヤマトと旅をすること四年半。マグナとヤマトはセットなのでね。ヤマトのソウルは、交換できるギリギリまで減ってしまっている。これ以上減ったら交換不能。そんなわけで、アビレックスに持っていくことにした。
先日、ブーツの修理が終わったとのことで、お店に受け取りに行ってきた。
ソウルの交換修理が終わったマイヤマトをレジの上に乗せた店員さん。目を丸くして驚く。
「なんなんですか!!!?このヤマト
は!!!?なんて色してるんですか!」
他の店員さんもレジに寄って来る。
「これって・・・クレイジーホース・・・ですか?」
「何か塗り込んでるんですか?」
「どうやったらこんな色になるんですか?」
「すごいっすね」「すごいっすね」「すごいっすね」「いいっすね」「やるっすね」
やんややんやの大喝采である。
確かに・・・新品と比べると、まるで別物なのである。似て非ざる、ではなくて、似てもいない。別物。
なんつーの?鼻高々っつーの?ちょっと嬉しいっつーの?
雨の中、風の中、雪の中、砂埃の中、海水にも浸かり・・・四年半。痛めつけたあとは、オイルを塗り塗り、ごめんごめんを繰り返してきた四年半。
もうあれだよ、こんな時は、こう言っちゃうよね。
「いやぁ、普通に履いて、普通に手入れをしてきただけっすよ」
きゃー!カッコいい!きゃー!いかすぅ!わぁ、それ言っちゃう?それ言っちゃう?
ソウルの修理代金、一万二千円弱。ヤマトの定価、一万六千円弱。
「あの・・・新品とあんまり値段変わらなくないっすか?」という若干の不満もと疑念も、やんやの大喝采にかき消され、ご機嫌で帰って来たのである。
革って、ほんとにいいもんですね。