雨を見るのが好き。
いや違う。
雨が降ってるのを見るのが好き。
いや違う。
遠くで雨が降ってるのを見つけるのが・・・好き。
これだ。これが正解だ。
遠くの雲から、雨のカーテンが地上に降りている。そんな風景が好き。
オーストラリアを車で旅している時、見渡す限りの荒野を走っている時、「あっ、雨だ!」と、時折その風景に見惚れたりした。
走る先に雨が見えたらすると、「うへぇ!雨じゃーん!」と叫び、数分後には10メートル先も見えないような豪雨に見舞われて立ち往生。とかね。
八丈島とか、西表島とかでポカーンと過ごしている時も雨をよく見た。海の向こうに浮かんだ雲からカーテンが垂れ下がる。
「あぁ、向こうの方は雨が降ってるなぁ」とかね。
北海道をバイクで走っている時にも、雨をよく見た。後方から迫りくる雨。ミラーに映る雨。心なしかアクセルを開けてみたして。ポツポツポツ・・・ザー!必ずずぶ濡れになるのだけどね。
おそらく、「見渡す限り」というのが基本的な条件なんだろう。
ついさっき、嵐山の畑にて。
「あれ?あれは雨かな?」
「あれは雨だな。雨が見えるな」
「あっ、黒いカーテン!あれは雨だ!」
と少し興奮する。
隣の畑のオオホリジージに僕は言う。
「じーじ!雨だよ。雨が見える」
オーホリジージは、僕が指差す方を一瞥して、ポカンとしている。
「ポツポツ来たな」
そうじゃなくて、向こうの方で雨が降ってるのが見えるんだって。土砂降りの雨が降ってるのが見えるんだって!
「ポツポツ来たから帰ろう帰ろう」と言って、オーホリジージは帰って行った。
うーん、伝わらないなぁ。興味のない人に伝える術はない。
そして、雨のカーテンに見惚れているうちに、ザバーっと雨が降ってきて、僕はびしょ濡れになった。
あぁ、どっか行きたいなぁ。
びしょ濡れになりたいわけではないけれど、「見渡す限り」のどこかへ行きたいなぁ。