繁華街のど真ん中。僕は道端に腰を下ろしている。
道の向こう側では、青年が唄を歌っている。路上ミュージシャンの存在は、いつだって気になる。
歌う者と、唄を聴くために立ち止まる者。その両方の存在を観ているのが楽しい。少し離れた場所からそんな光景を眺める。こういう場所になら、いくらでも居られる。
ミュージシャンは、唄を歌う。
なかなかいい唄を歌う。
時々邪魔が入る。
ミュージシャンは唄を歌う。
時折雨がパラつく。
こういう光景を観ていると・・・歌いたくなる。この場所で歌いたくなる。
人は立ち止まるだろうか?
誰か聴いてくれる人はいるのだろうか?
投げ銭は入るのだろうか?
別に聴いてくれなくてもいいとも思う。
ただただ歌えばいいと、歌いたくなる。
路上とは、きっと、そういう場所なのだろう。
繁華街のど真ん中、僕はずっと、歌っていたのだな。
大宮アルシェの色とりどりの看板を眺めながら、時には無人の空に向かって、時には100人の人に向かって、歌っていたのだな。
渋谷や吉祥寺や柏や立川・・・繁華街のど真ん中で。
繁華街のど真ん中で歌うミュージシャンの傍から、上空に向けて光が立ち昇った・・・
僕は・・・なんだ?と空を見上げる。