草原の丘から、戻る。
お父さんとお母さん、来た頃じゃないかな?と戻る。
なんにしても、家主不在の中、鎖を乗り越えて勝手に敷地に入り込んでいる僕である。勝手に敷地の奥深くの、草原の丘で時間を占拠していた僕である。不法侵入である。逮捕されるのである。
母屋の方へ向かうと、遠くにお父さんとお母さんがいるのが見える。
「あっ、やべぇ、もう来てた」
「あっ、やべぇ、不法侵入、バレた」
向こうが僕に気づく。
僕は手を振りながら近づいていく。
「埼玉から来たんですか?遠くからどうもありがとねぇ」
と、お父さん。
なぜかというと、鎖で閉じられていた入口にバイクが停めてある。
ペコリと頭を下げて、不法侵入の件について謝罪する。逮捕されるとまずいので。
お母さんが僕の顔を見て言う。
「あら」
そう、僕です僕です、と僕は言う。
お父さんもお母さんも、思い出してくれた。
「おぉぉ、よく来たよく来た。おぉぉ、休んでいけ休んでいけ、ゆっくり休んでいけ」
となる。再会である。