映画を観たら見た映画の点数をつける。もちろん独断と偏見もあるだろうが、これをずっと昔からやっている。先日、映画「モディリアーニ」を観てきた。20年以上前にTVでやっていたモノクロ映画「モンパルナスの灯」も主人公はモディリアーニだった。そんな以前に見た映画だが絵が売れずに若くして亡くなったことや、妻がその後を追って自殺。独特の個性的な絵がとても印象深くて心に残っている。私の中にモディリアーニが刻み込まれたのもこの映画のせいかもしれない。今回の新作映画「モディリアーニ」はピカソとの激しいライバル意識を縦軸に、芸術家の男たちのエネルギーを振り絞る闘争心や退廃していく生活、妻との愛情などに焦点を当てて描かれていた。いまいちなのは、この映画を作る視点があまりにドラマティックに描き出したいための誇張が強すぎて作り物っぽい感じがしたことだ。それでもモディリアーニの絵から漂ってくる“静”の世界は私を惹き込ませる。そして、やっぱり言葉ではうまく表現できないけれどモディリアーニは映画にしたいと思わせる魅力的な男だと思う。妻と出会って3年の生活。身重だった彼女の“若さ”が彼のあとを追わせたのだろう。美しいもののベールを剥いでいくと違うものが見えてくる。