しらの風景

自然と野鳥や生き物が大好き!自然の中には学びがいっぱい。
デザインの仕事をしながら、楽しく生きる智慧を探します。

ジリハジを持つ。(12/15*木)

2005-12-15 | 読書大好き!
『ボクネン~大自然の伝言を彫る~』を読んで。

初めて名嘉睦稔さんを知ったのは、『ガイヤシンフォニー』という映画を観たとき。版画家である彼の制作の原点は沖縄・伊是名島の自然なのだと感じた。他のアーティストと何かが違うと感じたのは、彼の中に自然への畏敬、人の持つ能力の原点、心のあり方などを感じたからなのだろうか。とにかくひと言でいうと、魅力的な人だと思った。
今回、図書館で偶然見つけたこの1冊の本。読んでみると心にずしりと来るものがあった。日頃から、人の持つ力が科学信仰に傾き過ぎて見えなくなって来ているのでは?とか、自然の中にこそ人類が学んでいくものがあるのでは?と思っているので、その答えをこの本の中で一緒に探しあてた気がした。日頃から私が求めている原点となるものが、その中では星のようにキラキラちりばめれて語られていた。そして、言葉というか文章が彼の版画のように個性的でビジュアル的で美しい。沖縄にはまだ息づき伝えられている大いなるもの。私たちの場所では、さっさとそういうものを捨て去る選択がされたのだと思う。きっとそれは突き詰めると経済(お金)のために。
一番印象に残った言葉は「ジリハジを持つ」ということ。これは簡単にいうと『義理と恥』の意味らしいが、沖縄ではもっと深い意味があり、“ジリ”とは約束事。他の生命を尊重すると同時に自らの生存の権利をまっとうすること。“ハジ”とは人が他の動物と何ら変わらないのにもかかわらず自覚も気づきもしていないどころか、他の動物に負けているところさえある。その無知が恥ということ。それを知り、己を制御して他とうまくバランスをとる。人に与えられた叡智が、すべての生命体の存続のためにあることを自覚することの意であるらしい。
沖縄という場所、ここには私たち人類が学ぶべきことが、まだたくさん残されているような気がする。(写真は晩秋まで我が家で咲き続けた“あかばな”沖縄では冬でも咲いている)