月刊レジデントの2016年1月号「かぜくらい診られますよって本当ですが?」を読んでいた。「かぜの予防に関するエビデンス」藤谷好弘先生には、かぜ予防に有効とされる「マスク」「うがい」「手洗い」のエビデンスについて記載されている。エビデンスといっても症例数が少なすぎたり、方法に問題があったり、良質なものはないらしい。確かに研究として行うのは難しそうだ。
「マスク」は明確なエビデンスはないものの、飛沫が鼻腔や口腔内に入るのを防いで、ウイルスへの暴露を減らす可能性はある。どちらかというと、かぜの患者さんがマスクをして(咳エチケット)、周囲への飛沫の拡散を予防する方が大事だ。マスクは適切に着用する必要があり、あごにかけたり、口だけ覆ったりしては効果がない。
「うがい」の予防効果は賛否両論ということだが、有効というものもあり、昔から習慣としてしている人にあえて止めさせることはないという。なんだか、そっけない記載だった。ポピドンヨードは特に必要がなく、水で1日数回のうがいでいいようだ。時間を決めてやるのか、数回といっても何回なのかと言い出すと、きりがない。
「手洗い」は予防効果が証明されているそうだ。くしゃみや咳などで拡散したウイルスは数時間から数日生きているので、手洗い(手指衛生)は効果がありそうだ。病院では原則1処置1手洗いだが(守るのは困難)、一般の人はいったい1日何回手洗いをすればいいのだろうか。共用物品に触るごとに手洗いをするのは到底無理だ。
他にも興味深い記載があり、すごくいい。月刊レジデントで以前に「循環器救急疾患」の特集が単行本化されたが、この特集も内容を増補して単行本化してほしい。