なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腫瘍があった

2017年07月26日 | Weblog

 前々回の日曜日、日直の時に90歳代初めの女性が心窩部痛で救急搬入された。まず心電図をとったが、異常はなかった(下壁梗塞はない)。胸骨裏から心窩部が詰まったようだという。

 胸腹部CT(軽度腎障害あり単純)をみると、中部~下部食道に食物がたまっていた。食道末端~胃に明らかな狭窄は認めなかった。血液検査では鉄欠乏性貧血があり、追加した腫瘍マーカーでCEAが軽度に上昇していた。

 その日は外来で点滴をして、水分を少しずつとってもらって、症状は軽快した。他に入院になる患者さんがいて忙しかったのと、患者さん自身が入院を希望しなかたので、外来で消化管精査とした。

 さっそく行った上部消化管内視鏡検査では出血をきたすような病変はなく、萎縮性胃炎のみだった。ガスモチン、六君子湯と鉄剤を処方していたが、食物が詰まる症状はなくなっていた。次は下部消化管の検査だが、以前他院で受けた時に入りにくいと言われたそうだ。当院の先生は上手だからやってみましょうと勧めた。

 下部消化管内視鏡を行った消化器科医から、S状結腸まで入ったところで挿入できなくなったと報告があった。腫瘍かどうか見えないので、腹部CT(単純)を行った。放射線科の読影で、「consistent with S状結腸癌」と診断された。前回CTの同じ部位をそのつもりで見返したが、今回のような腫瘍らしくは見えない(見る人が見ればわかるのだろうが)。

 続いて注腸造影が行われて、全周性の狭窄が描出された。入院で経過をみて、手術できるか検討することになった。高齢の割には元気で、しっかり歩いてはきはきと会話している。明らかな転移巣もないので、手術できそうだ。

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