なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳梗塞

2024年11月20日 | 脳神経疾患

 11月18日(月)に市内の整形外科クリニックから右半身脱力(不全麻痺)の80歳代前半の男性を紹介したい、と連絡が入った。普段は隣町の内科医院に高血圧症・糖尿病で通院している。その整形外科にも定期的に通院していた。

 発症は11月15日(金)の昼頃で、ふらついて転倒したそうだ。右半身の脱力(不全麻痺)があった。そのまま様子をみていたらしい。つかまり歩行はできて、そのうち慣れて足を引きずって歩行できた。箸を使うのが不自由だった。

 その日は整形外科で診る病気と思って受診していた。妻(要介護)と息子の3人家族だが、別居の娘さんが連れて来ていた。

 意識は清明で軽度の脱力がある(MMT4)。感覚障害はなく、頭痛・嘔気はなかった。脳梗塞のようだ。

 月曜日はMRI検査が混んでいる。連絡すると午後4時になりますということだった。日数的には頭部CTでも所見が出るだろう。CTで左放線冠に梗塞巣を認めた。ラクナ梗塞になる。

 4日目でいまさらという気もしたが、入院治療はどうかと勧めた。本人は嫌がっていたが、娘さんの説得で入院になった。入院後に頭部MRIも行った。

 場所的にはちょっと病変が進むと完全麻痺にもなる部位だった。経過をみないと症状がどこで固定するかわからない。抗血小板薬とエダラボンで治療を開始した。翌日には症状が軽減したが、自然経過なのだろうか。

 

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直腸癌

2024年11月19日 | 消化器疾患

 11月19日地域の基幹病院消化器内科から直腸癌の60歳代半ばの男性が転院してきた。

 11月8日(金)の夜間に便秘・腹部膨満・食欲低下で当院の救急外来を受診している。当直医は外部の病院の先生(バイトの外科医)だった。

 腹部単純X線で著明なニボーを認めて、誰が見ても腸閉塞だった。腹部CTで大腸が拡張していて、直腸に狭窄部とその口側の拡張を認めた。直腸癌による狭窄と診断していた。当院では対応できないので、基幹病院に搬送した。

 搬送後すぐに直腸ステントを留置したそうだ。腸閉塞はうまく解除された。当院の単純CTではわかりにくいが、造影CTでは多発性肝転移もあった。

 診療情報提供書によるとアルコール依存症と著明なるい痩があり、ADLは介助で車椅子移乗程度のため、治療適応なしと判断された。緩和ケアの継続をお願いしますという内容だった。

 妻子はいないが、親族と同居している方だった。リハビリをして、トイレ歩行できれば、いったん退院にできるかもしれない。地域包括ケア病棟で受けたので、入院期限60日になる。越える可能性があると事務には伝えた。

 

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多発性骨転移

2024年11月18日 | 消化器疾患

 11月15日(金)に泌尿器科の先生(非常勤)から相談された。患者さんは、多発性骨転移の80歳代前半の男性だった。

 右下腹部痛(チクチクする痛みと)で内科外来を受診した。腹部CTで特に所見はなかった。前立腺肥大症があり、担当した内科の先生は泌尿器科に紹介した。

 泌尿器科で検査しているうちに、血清PSA値は正常域だったが、骨条件でCT画像を見ると、脊椎(椎体)に多発性に転移巣(造骨性)を認めた。

 内科に戻されて内臓癌の腫瘍マーカーを測定すると、CEA 123.1・CA19-9 >12000と腺癌のマーカーが異常高値だった。造影CTでは胃癌・大腸癌・胆道系癌は指摘できないが、膵頭部にIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)を示唆する病変を認めた。IPMNから膵癌が出ていれば腫瘍マーカーの所見と合うか。原発巣が小さくて、転移巣が目立つ形?。

 肝転移・肺転移は画像上認めない。炎症反応は陰性で肝機能検査は骨転移を反映してALPのみが高値だった。

 内科の先生はがんセンター消化器内科に紹介した。返事はあっさりしたもので、「検査としては超音波内視鏡になるが、高齢で危険があり、しないことになった。」というものだった。治療についての記載はなかった。

 前立腺肥大症の治療は継続しているので、その日患者さんが泌尿器科外来を受診した。内科医の外来予約もあったが、泌尿器科医は(訊きやすい当方に?)どうにかならないのかと訊いてきた、という経緯だった。

 超音波内視鏡はできると思うが、それだけでは診断がつかないので、FNA(超音波内視鏡ガイド穿刺)の適応はないということなのだろうか。抗癌剤治療は組織がないのと、年齢の問題で行われないか。

 泌尿器科の先生から、PETはどうですかと訊かれた。(依頼するとすればガンセンターではない、他の病院になる。)侵襲はないのでやって悪くはないが、原発巣が小さいと所見が出るかわからない。そもそも治療に結びつかなければ高額な検査をする意味がない。

 

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RSウイルスワクチン

2024年11月17日 | 感染症

 RSウイルスワクチンも2種類出ている。RSウイルスによる下気道感染症を80%くらい予防するそうだ。また妊婦の接種で新生児・乳児の重度のRSウイルス感染症を80%程度予防するという。

 ただ、なかなかの値段だった。長期の予防効果や、短期間では特異的な副反応はないとされるが、またよくわかったいない。接種が進んである程度のデータが出るまで待ってもいいか。

 コロナ前は、孫からうつった高齢者のRSウイルス感染症の入院がぽつぽつあった。細気管支炎で、臨床的には喘息重積発作のような病状になる。酸素吸入、二次性細菌性肺炎の予防(併発)に対する抗菌薬、喘息治療の準じたステロイドで治療を行った。

 

 
商品名 アレックスビー®筋注用 アブリスボ®筋注用
予防できる病気 RSウイルス感染症 RSウイルス感染症
ワクチンの種類 不活化ワクチン 不活化ワクチン
定期/任意 任意接種
・60歳以上の成人
任意接種
・妊娠24〜36週の妊婦
・60歳以上の成人
接種回数 1回 1回
接種量・接種方法 0.5ml 筋肉内接種 0.5ml 筋肉内接種
費用 1回約25000円
(施設により異なる)
1回30000〜38000円
(施設により異なる)

 

 
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新型コロナワクチンの効果

2024年11月16日 | COVID-19

 倉原優先生のYahoo newsに「いま接種されている新型コロナワクチンは、冬に流行する変異ウイルスに効くのか?」が載っていた(11月6日の記事)。

 現在定期接種で使用されているのは、JN.1対応ワクチンだが、「現在流行しているKP.3にも今後流行するXECにも中和抗体価は十分達成される」ということだった。

 現在外来では、もっぱらインフルエンザワクチン接種をしているが、新型コロナワクチンも併せて受けたいという高齢者もいて、同日接種している。当院の新型コロナワクチンはファイザーのmRNAワクチン・コミナティを使用している。

 外来の高齢者にコロナのワクチンの通達が来ているかと訊くと、来ていないと答えたりして、接種者は少ない。

 当院の皮膚科の先生は、「先生(当方)が打つなら打ちます」ということで新型コロナワクチンを接種した。費用は15300円。この先生は注射局所が少し腫れるそうだが、全身性の副反応はない(うらやましい)。

 費用が2000~4000円(自治体により違う)の高齢者でも接種者が少ないと、15300円かかる64歳以下の人たちはあまり受けないのだろう。

 

 Yahoo newsの忽那賢志先生と倉原優先生の記事をずっと見ていたが、一時アクセスできなくなった。Yahoo newsのエキスパートのところに変更になっていたので修正してまた見られるようになった。

 

図2.JN.1対応ワクチンの効果(参考資料4より引用)(NT50:ウイルスの感染性を50%阻害する血漿の希釈倍率を表す中和抗体価の指標)
図2.JN.1対応ワクチンの効果(参考資料4より引用)(NT50:ウイルスの感染性を50%阻害する血漿の希釈倍率を表す中和抗体価の指標)
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インフルエンザ診療ガイド

2024年11月15日 | 感染症

 日本医事新報社から毎年11月に「インフルエンザ診療ガイド」が出ている。2019年まではずっと「インフルエンザ診療ガイド2019-2020」だった。インフルエンザは年を跨いで流行するため(前年の冬から翌年の春まで)、2019-2020シーズンと表記する。

 2020年は「新型コロナウイルス感染症流行下の インフルエンザ診療ガイド2020-2021」になった。2021年と2023年は。「インフルエンザ/新型コロナウイルス感染症診療ガイド2021-2022、2022-2023」。

 2023年は新型コロナウイルスが5類になって落ち着いたと判断したのか、また「インフルエンザ診療ガイド2023-2024」に戻っていた。ただし内容の1/3は新型コロナになっている。

 2024年も同じかと思ったら、「インフルエンザ・COVID-19(新型コロナウイルス感染症)・RSV(RSウイルス感染症)診療ガイド2024-2025」になっていた。

 確かにRSウイルスワクチンができたのはトピックではあるが、なんだかタイトルが迷走している。2023年にタイトルからCOVID-19を抜いたら売り上げが落ちたのだろうか。

 

 昨年編著者の菅谷憲夫先生は、小児への投与が好ましくないゾフルーザを小児科学会が擁護する記載をしているのを批判していた。 

 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは感染予防効果が低く、A(H1N1)pdm09に効果がないそうだ。(米国では使用しない勧告もでている)今年は著者の菅谷先生が、それを小児科学会が擁護しているのを批判している。

 巻末のQ&A「マスク・手洗い・うがい、種々の室内空気感染対策のインフルエンザやCOVID-19に対する予防効果について」では、引き続き仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一先生が「西村節」で記載している。

 学会ににらまれても気にしない人たち?。

 

インフルエンザ・COVID-19・RSV診療ガイド2024-25

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肺癌の転移・播種

2024年11月14日 | 呼吸器疾患

 11月12日(火)の午後にCVカテーテル挿入のために放射線科に行った。ちょうど造影CTを行っていて、肝臓内に多発性腫瘤(転移)があった。

 内科外来からのオーダーかと思ったが、市内のクリニックからの造影CT依頼だった。画像だけの依頼なので、撮影後は画像をCDに入れて依頼先にお返しするだけになる。

 患者さんは70歳代半ばの男性で、依頼内容は「最近胸が苦しいという訴えで胸部X線検査を行った。胸水貯留と左横隔膜挙上を認める。左上腹部腫瘍の疑いがある。」というものだった。

 当院では胸部単純X線を行っていない。通常のX線撮影でどこまでわかるかだが、CT画像から推定すると、良く見れば左肺門の腫瘤が指摘できるかもしれない。左胸水貯留からは通常は肺炎・胸膜炎を疑うところだが、発熱がないことから悪性腫瘍を疑ったということらしい。

 造影CTの結果は、「左肺門部癌があり、胸膜播種・胸水貯留・多発性肝転移を認める」だった。放射線科の読影レポートは遠隔診断で数日かかるが、その日は週1回放射線科医が病院で直接読影する日に当たっていて翌日には読影レポートがFAXで送られた。

 おそらく地域の基幹病院かがんセンターに紹介となるのだろう。年齢を考慮すると一度は高次医療機関に紹介しなければならない。当院には緩和ケアとなったところで紹介されてくるかもしれない。

 

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COVID-19・ARDS後

2024年11月13日 | COVID-19

 11月12日(火)に地域の基幹病院呼吸器内科から30歳前半の女性がリハビリ目的で転院してきた。

 COVID-19に罹患して基幹病院に入院したが、ARDSとなり、大学病院呼吸器内科に搬送された。ICU管理となりECMOを8日間装着していた。

 軽快してから基幹病院に戻ったが、集中治療期間のうちに廃用症候群となっていた。リハビリ病院ではないので、すぐに当院にリハビリ転院依頼が来ていた。

 その時は上肢が上がらず食事摂取は介助となっていたが、それから1週間経過して自力で食事摂取できるようになっていた。ただ途中で疲労により介助は要する。両下肢はほんのちょっとだけ挙上できた。もともと生まれつきの病気があり、すり足でゆっくり歩くくらいではあった。

 リハビリ病棟は廃用症候群の病名では入院期間3か月ということだ。それだけのうちに自宅生活ができるようになるかわからない。介助で車椅子に移乗するくらいまで、になるかもしれない。

 

 先週の胸部X線にも瘢痕の陰影が残っている。COVID-19でのECMO装着は今だにあるのだった。(ワクチン未接種)

 

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うっ血性心不全

2024年11月12日 | 循環器疾患

 11月4日(振替休日)の日直の時に、80歳代後半の男性が救急外来を受診した。10日くらい前から息が苦しくなるということだった。安静はよいが、労作時(トイレに行く)に息切れがする。ご本人は受診するつもりはなく、妻が心配して連れてきたということだった。

 両側下腿の浮腫があるが、それは何年か前から続いているという。脳神経内科(昨年春に常勤医退職)の外来でも相談したことがあるが、原因はいわれなかったそうだ。

 当院の消化器科の外来に通院して、脳神経内科の処方(抗血小板薬、降圧薬=ARB)も併せて処方してもらっている。昨年消化器科で行った胸腹部CTには胸水貯留はなかった。

 胸部X線・CTで確認すると心拡大・両側胸水貯留を認めた。

 

 心電図ではV1-3でST上昇様に見える。胸痛は特になかったそうだ。無痛性に心筋梗塞が発症して、心不全症状で気が付くということがある。現在当院は時間外でトロポニンは測定できない。上室性期外収縮はあるが、心房細動ではない。有意な心雑音はない。

 入院させて酸素吸入と利尿薬で治療を開始して、翌日の心エコーで判断することにした。(心エコーは外部の検査技師が週1回月曜日に来ている)酸素吸入は2L/分で十分だった。

 点滴静注薬は使わず、内服でエンレスト(100mg分2)とアゾセミド30mg・スピロノラクトン25mgとした。翌日まで1400mlの排尿があり、両下腿浮腫は軽快していた。

 心エコーではdiffuse hypokinesisとされ、画像を見ると確かにそうだった。V1-3のST上昇で前壁中隔梗塞ということではないようだ。駆出率(EF)は37%とされた。

 11月12日の胸部X線で胸水は減少してきている。1週間治療を継続(血圧はいいのでエンレストは増量へ)することにした。ご本人は早く退院したいといっている。

 11日の採血では、BNP 1922.6と著明に上昇していた。トロポニンIは314.0と高値だが、CK/CK-MBは正常域で炎症反応は陰性だった。

 

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COPDの肺炎

2024年11月11日 | 呼吸器疾患

 11月10日(日)は日直だった。休日当番医の内科医院から肺炎の患者さんの入院治療を依頼された。

 60歳代半ばの男性で、高血圧症で別の内科クリニックに高血圧症・高尿酸血症で通院している。11月4日から微熱と倦怠感があり、11月8日にそのクリニックを受診した。コロナの迅速検査は陰性で、胸部X線検査を受けて肺炎といわれたそうだ。

 抗菌薬の点滴と内服薬で治療が開始された。そこの先生は外来での抗菌薬はメロペネムを使用するので有名だった。内服薬はレボフロキサシンだった(COPDとしては適切)。

 11月11日解熱して食欲も良好だが、労作時の息切れがあり、当番医を受診したという経緯だった。酸素飽和度は92%(室内気)と低下している。

 胸部X線・CTで確認すると両側肺野に気腫性変化があり、主に右肺炎だが左肺炎もあった。

 20歳から50歳代まで30年の喫煙歴があり、ふだんでも坂道などでは息切れを感じているという。これまで別の病院で慢性閉塞性肺疾患(COPD)といわれたことがある。要するにCOPDの肺炎による増悪だった。

 酸素吸入(2L/分)と抗菌薬(セフトリアキソン)を開始した。肺炎像からは非区域性の病変で、肺炎球菌肺炎が疑われる。

 

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