Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

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2015-06-20 23:45:00 | その他の映画・ドラマ・舞台
2009年12月30日にTV放送されたBBCドラマをDVDで見ました。
動機はダウントン・アビーで愛着のあるミシェル・ドックリー(メアリー役)とダン・スティーブンス(マシュー役)が出ているからでした。



お話は有名な小説だし何度も映画ドラマになっているのでご存知の方も多いでしょうか。私は原作は未読です。

ダウントンは2010年からなので、直前の作品、しかも原作は1898年に出版されたのですがこのドラマは時代が1921年という設定ですので、ふたりの容姿はダウントンの時とほぼ同じです。(笑)

ミシェルはガヴァネスと呼ばれる家庭教師アンの役。お化粧なしの素顔という設定のシーンがあるのですが、それがとっても美しかったです。ダウントンで見た時は「変な顔のお嬢様だな」と思った私の目が慣れたのか、本当に素顔がきれいなのか、両方だという気がします。(笑)

ダンちゃんの役は、精神科医で、ダウントンでの弁護士に並ぶ中産階級です。しかもいい人。ますますマシュー。

フタを開けてみたら、目の保養は、この2人だけでなく、お屋敷の子供達が昔の少女マンガから抜け出たような退廃美なんですよ。プラチナブロンドに完璧な衣装。もう、外見でこの子達に惑わされるのがわかる・・・それから子供達の叔父、家庭教師の雇い主も美男です。

イギリスの田舎ブライの朽ちたお屋敷に赴任した家庭教師の身に起こった、不思議で怖いお話を、医者が聞き出すというかたちをとっています。

第一次世界大戦直後で男性が減った時代ですが、お屋敷には美少年のお坊ちゃん以外に男性はおらず、執事の代わりに家政婦長が取り仕切り、運転手も女性が男装しているちょっと異様な「男不在」の状況で、アンにとって男性の存在は、美男の雇い主からの仕事への期待と、前任の家庭教師とできていてお屋敷中の女性に暴力をふるったという男の幽霊のみ。

主人公は家庭教師アンですが、彼女の視点で語られるにもかかわらず、回想シーンが第3者による解釈や彼女の妄想なのでは?と思わせるつくりになっていて、お屋敷での出来事が、彼女が語った通りだったのか否かが、幽霊の存在のように見た人に委ねられるところがまた怖かったです。

と言うのも、「若い女性には性的願望や妄想があるに違いない」という原作の書かれた当時(今もかな?)の男性側の妄想を感じたからです。

ダンちゃんのお医者様はそんな妄想を持たず、アンを信じる爽やかな青年なのが、このドラマの後味を良くしてくれます。


ひとつリアルな疑問が残りました。
アンの幽霊の話を誰も信じないのなら、彼女の精神は正常ではなかったと判断されてるはずで、それでなぜあのラストシーンなのか。精神疾患ではなく嘘だと判断された?それじゃすてきな精神科医がカウンセリングした意味はなんだったのか?