歌舞伎を見てきました。東銀座の歌舞伎座で。
いつもはシェイクスピアだナショナルシアターだと騒いでいる私も、自分のルーツを見直さねば、と思い至ったのです。
・・・というのはウソです・・・
ロンドンの友人が東京に遊びに来ていて、東京ならではのものを、ということで歌舞伎です。
そんな突然、世界の歌舞伎座で観られるものなのでしょうか?
観られるのです!私のように、いつか機会があったら見たいけど、どうしたらいいのかわからない方のために書いておくことにしました。
それは「一幕見席」という、当日売り出す4階席&立ち見席で、詳しくはリンク先をお読みいただければいいとして、体験談を書きますね。
まず私と友人と息子さんが劇場に着いたのは朝10時すぎ。
この時、雨の中すでに70人くらいは並んでいたような。
最後尾に着きますと、案内係りの人が順番に何を見たいのかを1組1組その日の昼の部と夜の部の演目表を持って回ってきました。朝から夜の部に並んでいる人も。
ちなみに「一幕見席」というから一人一幕しかチケットは買えないのかと私は思っていましたが、通して昼の部全三幕を買うことも可能なのでした。
ただし、席についてわかったのは、当日券の席のすぐ目の前が前売り席、値段は、何とたったの4千円ですので、「一幕見席」を通しで買うのと変わらない値段で少し前ですし、朝から並ばずに済むので、もし買えるなら前売りでもお安い席はあります。
でも「七月大歌舞伎」は話題の海老蔵と勸玄君が出ているので前売りは売り切れでした。
さて、私達が何を見たいのか聞かれた時点で一幕目は売り切れておりましたので、選択肢は3つ。二幕三幕と続けて買うか、二幕か三幕を買うか。
この時「もし立ち見になったら列に並んだ後にも2時間以上立っていられる自信はないな」と思い、有名な「連獅子」の三幕目のみを見ることにしました。
席は自由席で、先に通しで何人入っているやも分からず、客席に入ってみないと座れるかどうかはわからなかったからです。座れると決まってたら二幕目から座って観ればいいんですけどね。
さてさて、先の幕の人達も同じ列に並んでいるので、幕が始まるごとに列は短くなっていきました。この間、誘導係がきちっと順番が崩れないよう仕切っています。ただ、その方法が他にはないので、待たされていらついている男性が自分の順番が不当に後回しにされたとが鳴ったりしていて皆んなのストレスでした。
ちなみに切符発売時間と上演時間の詳細はこちら →
で、この列には「1人が場所取りしてて仲間が後から割り込む」のを厳重にチェックしていて、最初に「何の演目を買うのか」聞いてきてカウントしています。
とはいえ、三幕目の発売は12時くらいなので、朝から並んでいれば当然おなかもすくしトイレにも行きたくなるので、その程度の離席はOKです。
結局、発売は予定より早くなり、地下で買ったおにぎりなどをモグモグしているうちに切符が買えました。何と三幕目だけを見る人の列では私達が列の1番前になっていました。
切符には番号が入っていて時間になったらその番号順に入場できるので、切符を購入後1時間強の自由時間が。この間に地下のショップ&カフェを散策。
後で知りましたが、5階にはギャラリーなど歌舞伎関係体験スペースもありそこへ行ってもよかったかも。でも2時間立って待ってたのでカフェで休憩以外思いつきませんでした。
いよいよ指定時間に4階へ上がり少し回廊で待った後に入場。そして私は当日券の席の最前列に座れたのです。よかった!!
舞台の方の感想も少し。
今の私が歌舞伎を見たかったのには、
私はベン・ウィショーさんが好き
↓
ウィショーさんの尊敬する俳優さんはマーク・ライアンス
↓
マーク・ライアンスが十二夜に出演した時に研究したのが歌舞伎
と、このように明確な理由がありました。
実はその昔、私は何とご招待で旧歌舞伎座で全幕物を見たことがあるのですが、当時は演劇には疎く、感想も全く覚えていません。
しかし今の私はロイヤルオペラハウスだシェイクスピアだブロードウエイだシアターオーブだと経験も積みましたからね、
その経験からちょっと西洋人視点では舞台奥のひな壇の楽隊にまずびっくり、
続いて黒子と違って見えるのに存在を消すために中腰で摺足移動する小道具係りに感動、あれは茶運びゼンマイ式人形かドクター・フーのダーレクか。
小道具がシンプルで象徴的でモダンなことよ。
歌舞伎の舞台の「お雛様み」に人形が動いているジャパニーズトイストーリー的な感動もありました。
そして「連獅子」の有名な獅子の精の舞の、長い鬘をぐるぐる恐竜の尻尾のように振り回すクライマックスには、バレエ「白鳥の湖」の黒鳥の32回転のグラン・フェッテを思い出しました。
あと、この演目には獅子の合間に狂言が付いていて、宗派の違う二人の僧のお笑いスケッチがありました。もちろんセリフは古い日本語なのですがよく聞いているとなんとなくわかる。ところが私は途中で意識が飛んでしまったのです。
映画でもよく意識が飛びますが、この狂言の肝心の「南無妙法蓮華経」と「南無阿弥陀仏」の掛け合いを見逃してしまったのです~
一緒に来ていた友人の息子さん(15歳ロンドン出身日英ハーフ)でさえも理解して面白がっていたというのに、私ときたら・・・・(涙)
まあおかげで、また見に行く動機もできました。