Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

マリアノ・フォルチュニ織りなすデザイン展

2019-09-12 19:27:00 | ファッション
マリアノ・フォルチュニ(1871 –1949)とはこの企画展まで全く知らなかったのですが、20世紀初頭に主に活躍した画家、写真家、舞台芸術家、ファッション&テキスタイルデザイナーというマルチアーティストです。

全く知らなかったのに見に行ったきっかけは、夫が「好きだ」と発言したこと。実は夫はファッションカレッジに行っていて、その他のアートファンでもあり、あと両親がイタリア在住の関係でよく行くんですが、フォルチュニ美術館はヴェネチアにある・・・「みんなでヴェネチア行った時に行かなかったっけ?」な発言もありましたが、絶対に行ってません。けどまあ興味はちょっと出てきました。

というのは、代表作「デルフォス」という、シルクにプリーツ加工をしたドレスを発明したことで有名とのことなのですが、



「え?プリーズプリーツのイッセイミヤケじゃないの?」と思ったけど、フォルティノが開発したのは1907年とのこと、早かった!



彼のスタイルは、このデルフォス(古代ギリシャが発想元)にプリントが施されたストールやコートを羽織るというもの。どちらもシルクでハイファッションです!

シルエットもヴィクトリアンなコルセットをせず、プリントも当時流行った東洋風、特に日本の着物は母から譲られたそうで、着物のプリントや形を相当真似しています。



天井から下がったランプも彼のデザイン。壁にかかったファブリックも。

しかしかなり気になったのは下の中央、シェイクスピア「オセロ」の小姓のための秀作・・・巻き毛の下にチラ見えする白い肌とベルトにかけたゴツめの手が対照的でセクシーだな・・・と思ったのですけど、オセロって小姓なんて出てきてた?

これ以外にもシェエイクスピア劇やミラノのスカラ座のオペラの舞台美術の仕事もしていました。



しかしね、彼が器用で美的センスもありビジネスセンスもあったことは確かだと思う、けど、彼の家が裕福で、絵や写真のモデルにも登場する奥さんも裕福なアーティスト一家の出なんですと。

シルクに金箔のプリントが施された贅沢なファブリックは美術品の域で、デルフォスは「ダウントン・アビー」でメアリーも着用していた写真があった通り、裕福な人種のためのもの。

昨日「エセルとアーネスト」で庶民の人生の価値を噛み締めてきたばかりの私には、ちょっと「お金があってシルクが買えて、本物の高価な日本の着物もあって、いいね・・・」と遠い目に・・・

さらに展示の最後の方に、100年以上経ってデルフォスを使ったコレクションを発表したヴァレンティノのショー(2016年)の動画を見たんですが、

見事にモデルが金髪美女で揃えられていた。

東洋の、日本の美にインスパイアされたコレクションが回り回って、白人オンリーのショーとしてこのグローバル時代に見せられた・・・と思ったのは私だけ?

「文化の盗用」という言葉がチラリかすめましたが、そんなこと言ったら日本人が毎日西洋の洋服ばかり着てるのは何なんだよ?と一人ツッコミ。

それはさて置き、三菱一号館美術館は煉瓦造りの明治の洋館ですので、階段フェチの私にはそれだけで素敵なところ。上の方は昨今作られた階段ですけど。



レンガの後ろに聳える近代ビル、つまらない。



レンガの建物にこの半地下スペースというの大好物です。



また階段。モダンな壁の表示がセンスいい。



屋根の上に可愛らしいものがついてるんですけど、避雷針?



庶民でも豪華なものを豪華な場所で見るのはやはり心の栄養でありました。