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映画「エクスカリバー」に次いで文庫「アーサー王物語」を読みましたよ〜
もちろんドラマ「魔術師MERLINマーリン」(邦題は今、←なんですね?!似たような他作品との差別化でしょうけど、英語タイトル直訳「マーリンの冒険」の方が内容には合ってると思うのだけど〜)を深く知ろうという健気な努力です。
でもその努力にも個人の許容量がありまして、hedgehogさんオススメの岩波少年文庫版を選びました。新書1冊ですので、ありがたいです。
読み終わって、映画「エクスカリバー」が原作に忠実ということがわかりました。あれは主にアーサーの一生をコンパクトに詰め込んだものなんですね、それにプラス、こちらの本は、アーサー王に絡められて集められたドイツやフランス、イギリスの騎士や姫の物語も追加してありますので、少年向けですけど、いわゆる「アーサー王伝説」の全体像がわかる作りになっています。
マーリンのファンとしては、1957年出版(英語版は1953年)の翻訳で完全におじいちゃん言葉でマーリンが語っているのが違和感でした。あれはね、加齢の術中のマーリンの姿を後世の人が記録したんですね・・・(違う!)
いや冗談は置いといて、なんと翻訳版の大きな欠点があとがきにてわかりました。英語版から訳者がたいくつと思って割愛されている話(それはいい)と、部分的に省略されたところがあり、それは「マーリンの長々とした予言」だそうなのです!くそう〜
物語の主役はあくまでもアーサー王と騎士たちで、アーサーがいかに特別な王であるかを演出したのがマーリンの予言です。
アーサーは子供の時にマーリンにアヴァロンに連れて行かれ妖精たちに魔術をかけられた。それでアーサーが授かったものとは、
・世界中で1番優れた騎士になること
・世界中で1番偉大な王になること
・これから先のどんな人より長生きすること
そして妖精たちはエクスカリバーという剣を鍛えた。
ここに、マーリンによってアーサーは特別な王になったという「魔術師マーリン」とのリンクがやっと見えました!
あとはですね〜
ドラマでは騎士たち、みんなやんちゃな体育会系男子でしたが、本では名前もみんな「〇〇卿」でおじさんぽく偉そうです。モードレッドでさえモードレッド卿。その昔は若くても成人したら大人ですから今と感覚が違いますからね。
しかもやはり騎士という身分は貴族の中でも特別に高い精神性と戦闘力を身につけた、江戸時代の武士のような地位なのだとうっすらわかりました。
ドラマのマーリンではちょっと騎士にそういう貫禄はないので、単なる軍人のように見えちゃった。
それとよく物語で、「姫と結婚したい若者は冒険の旅に出てたからを持ち帰ること」というのがありますよね?あれは騎士の重要なお仕事に「冒険」があるからなんだな、と本を読んでわかりました。現代でいう駐在員として海外で成功を収めるみたいな。その認識は今までありませんでした〜
それと、
「ランスロット卿とグウィネヴィア妃の恋」がかなり物語の中で長く大きいです。
ドラマではかなりそこは小さくしてましたけど、正解ですね。ドラマのグウィネヴィア妃はキャスティングは文句もありながら知性派でカマラ・ハリスを先取りしておりました。
ランスロットは別の姫に騙されて一夜を共にし気が狂ってしまうなどかなりドラマチックな人生を送り、アーサー王とも戦争する存在感の大きいキャラです。
ドラマは「アーサーと騎士たち」の王国が栄えたわけは実はマーリンの地味な努力によるものだったんだよ、という視点で書き直した、いわば舞台裏ストーリーでありながら、キャラたちが魅力的、しかも話がおもしろく、それ自体としても完結という、イギリス人にしてみたら二重に価値のある奇跡のようなシリーズになったのですね。