「半・分解展」という、200年くらい前の衣服を半分解体して展示するというイベントに行ってきました。
主催者の肩書きはずばり「衣服標本家」、おかげで表面しか見たことがなかった昔の服の中身が見れて触れることもできるというレアなチャンスに預かることができました。
特に今でも残っているのは富裕層とその使用人のものが多いため、その職人技、構造は1枚1枚小宇宙のようでした。
テイルにまで芯や詰め物が入って立派な形を作っています↑
ドラマファンとしては、王様、貴族、革命家、使用人、アーティスト、貴婦人などがどんな服の中に入っていたのかを5感で想像できる楽しみです。
特にヴィクトリア時代あたりの服の上にはプリンス・アルバート役のトム・ヒューズのホログラムが私の脳内では現れて大変気分がよかったです。
こちらは、使用人の服ですが、豪華な衣装を身につけた使用人は富裕層の富の証、時にフランス革命以降はご主人様たち身分の高い人ももうキラキラレースの服など着無くなったので使用人の方が派手だったこともあったそうです。↓
ところで、私がアパレルで働いていた頃聞いた謎に「海外の高級ジャケットは大きくないのに着ていても疲れないのに、日本製のは肩が凝る」というものがあります。
それを聞いてから「本場のジャケットは何が違うのか」という疑問が解けていないため、肩こりの理由になる「袖付け」に特にこだわって展示を見てしまいました。本物も力を加えなければ触れてもいい展示なので、お袖をそ〜っと持ち上げてその形や付け方を見ることができました。
見頃や襟あたりの構造も着心地には影響あるのでしょうけど、ちょっと私の乏しい知識では見抜けないので、肩とお袖だけで結論を言えば、アームホールは極小で袖のパターンが半月型の弧を描いてる特徴がありました。上の写真でも袖の肘側(後ろ)が丸いですよね。
袖ぐりがこんなに丸くて細いです。とても立体的。
アンティークから起こした型紙で作られたレプリカの展示もあり、それは試着自由なので私も↓のを着てみました。
2Dでは分かりにくいですが、このコートはかなり小さく見えました。実際羽織る時も、もしや入らないのでは?と一瞬思いましたが腕を思い切り後ろに回したら、両腕からしっかり体も収まり胸囲はピッタリでした。そして、肩から腕がとても自由でした!!!思えば肘は前にしか曲がらないので、三日月型が自然な腕の形なんですね。今まで肩の着心地はアームホールの大きさかと思っていましたが、否、現代服より小さなアームホールでも大丈夫なんです。シミジミ・・・洋服は限りなく立体なのだと悟った扁平着物民族の末裔でした。
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