Colours
今までは1シリーズ4エピ構成の「ENDEAVOUR」だったので、この4話目というのは最終章のためクライマックスとして辛く重々しいエピでしたが、このシリーズ5は全6話の大判振る舞いですのでまだ(モースにしては)重々しい空気は立ちこめていません。
そうそう、その「ENDEVOUR独特の重く暗い雰囲気」は何なんだろうと時々思っていました。同じモースシリーズの「ルイス」は同じオックスフォードの同じ警察でももう少し軽快な良い意味でヌケの要素があるというのに。
でもふと、中年モースの苦虫噛み潰したような顔を思い浮かべたら「ああ、あくまでもENDEAVOURはモースの過去」の物語、ルイスはルイスの現在から未来に向かう物語、とふたりのキャラの違いと時制の違いを思い出したのでした。
さて本エピは「Colours」というタイトルでオックスフォードの人種問題が出てきます。イギリスにはいつでもこの問題があるのでしょうけど、2018年現在のご時世にも通じるし、さらに軍隊が舞台の事件現場で、殺人の引き金となったのも差別感情が絡んでいました。
近年アメリカ映画で黒人差別の歴史を少し知る機会がありましたが、このエピでもオックスフォードの1960年代末に、ヘアサロンで「NO COLOURED/白人専用」という張り紙がありました。しかもそれが白人顧客が黒人と同じタオルを使いたくないという理由で店側が止むを得ず対処しているということ。少し前の時代に同じ人間に汚い意識を持っていたという生々しさ・・・。
そんな真面目なことも考えましたが、
サーズデー&モースが黒人の活動家に話をしに行き、「マーカス・ウィリアムだな?」と声をかけたところ、「マーカス・エックス、元のアフリカの苗字では」と返されたので、「そうか、ならファーストネームで行こう。私はフレッドだ。」と言い出したサーズデーだったのに、続いて「彼はモース。」とやっぱりモースはモースなのには笑えました。タイトルはエンデバーでも絶対にその言葉は出てこない。私の読みでは誰かがモースをエンデバーと呼んだら最終回になっちゃうのでは。
ところで、このエピでは「サーズデー警部が華々しく踊っていた」シーンから始まったので、もしや彼のダンスに関する過去の物語でも出てくるのか?!と期待してたら軍隊時代の若々しいサーズデーがっ?!と飛び上がったら息子のサムくんでした。似てますね?!家にいたときはそう思いませんでしたが、ちょっと顔が丸くなったらソックリさん。
しかし軍隊に入隊したら同じオックスフォードなのに家にも帰れないとは随分厳しいわりに、ファッション雑誌の撮影は許されるってかなり違和感が拭えませんでした。軍の駐屯地は国家機密ですよね?戦車も含めて撮影なんて許されるのでしょうか。
テムズバレー署新人のファンシーとトゥルーラブがちょっといい感じになっている一方、
前回サーズデーの娘ジョアンの引っ越し祝いパーティーにモースが招待されて、ふたりが見つめあっていい雰囲気と思ってたらジョアンが友達を紹介しようとして、モースは余計なお世話とばかりにさっさとパーティーを去ったはずだったのに、
ちゃっかりモースはそのフランス娘とラブラブになってました?!
とっさに思い出したのはドラマ「The Hour/裏切りのニュース」でベン・ウィショーのフレディが本命ではないのに結婚した相手もフランス娘だったこと。しかもふたりともイギリスの女の子が全員ロングヘアの時代にショートカットでモダンなのです。
寂しいインテリイギリス男は自由なフランス娘に弱いという傾向でしょうかっ?
実は私最初モースと冒頭で出てきた女の子がジョアンの所で会ったフレンチとすぐには思い至らず、フランソワーズ・アルディの名曲「さよならを教えて」がいきなり鳴り響いてどうしちゃったんだろう?!と思ったのですね、だってモースといえばクラシックなのに。
でもフレンチ・ポップスが鳴り響いちゃうくらい、モースは幸せそうに彼女を見つめていて、モースにもようやく青春が戻ったと思いきや、彼女の方はただの気まぐれのお楽しみと言い切っちゃうし、可哀想なモース。
でも肝心の事件は現場の物的証拠とヘアサロンでの聞き込みを結びつけ見事解決に持ち込んだモースでした。