HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

デザイン物は期中企画の方がイケるかも。

2012-09-19 14:28:36 | Weblog
 7月の頭だったか、懇意にするメーカーから「綿ドットの残反があるので、何か面白いアイテムをデザインしませんか」って依頼が舞い込んだ。面白いデザインと言ったって残反だから、製品化する枚数には限りがある。メーカーとしても期中の差し込み用として、バイヤーに好評なら来年本格的に取り組むデモ商品にしたいようだ。
 生地はコットンポプリンの白黒、大小の4種類。デザインで遊ぶにしても限界があるが、素材がオールシーズンいける素材だから、昨今の気候ならアウターで10月下旬まで、インナーでも12月までは着られるだろう。
 ならばドットというプリント柄をグラフィカル&マルチに活用してみたわけだが、商品があがってみると意外にも出来がいい。アウターとしての存在感のみならず、ブラックジャケットのインナーに来てもメリハリが利くと思う。 

 先日、デザイナーのNobukuni Taishiさんがやはり小さめのドットを使って、衿、身頃、袖、ポケットをすべて色を違えたクレイジーパターンのシャツをデザインし、フェイスブックで公開していた。大手メーカーの庇護のもと、ゼロから素材を手配できて、企画デザインに時間をかけられるなら、大いに遊んだデザインも可能だろう。
 しかし、こちらはそんな悠長なことは行ってられない専門店系アパレルの立場。ありものでやってくれと言われたのなら、「ハイ、ハイ」と応えるしかない。それでもオリジナリティがあって、クリエイティビティな商品を作れるから、金銭関係なくやりがいもあるというものだ。
 まあ、メーカーにしても、営業企画の商品だから数字は望んでいないし、バイヤー側も在庫負担にはならないから、すんなり付けてくれて“完売”というか、スムーズな“消化”だったようである。

 これまでマルチデザインは、某デザイナーブランドの十八番だった。生地合わせの手間がかかるし、用尺の問題からロスが出るので、大手NBはほとんど企画しなかった。しかし、工場側も小ロットを受けてくれるようになった今、セレクトショップでもクレイジーパターンの企画で1万5000円程度のシャツを投入するようになっている。
 もちろん、生地合わせや縫製の手間を考えると国内産だろうし、値ごろとは言えない価格を見ても海外では無理というのは容易に想像できる。ただ、大手セレクトの柄はストライプがメーンで、ドットにまでは踏み込みきれていない。デザイナーブランドやミニマムメーカーの動向を見ながら、マス化するかの様子見と言うことだろう。
 こちらにしても残反流用の売り切れご免企画だから、リスクはほとんどない。シーズン初めからデザイン物で勝負するには、相当のブランド力が必要になる。また企画で失敗すれば、ずっと在庫抱え、期中マークダウンの憂き目に遭う。

 しかし、アパレルにとって期中企画なら生産量も限られるし、売り切れご免のフォロー無しだからリスクはない。逆に小売りにとっても、デザイン物は大量には売れないから、マニア&顧客対象の売り切りで構わない。それにシーズンインならお客さんの衝動買いも誘発できる。
 昨今のお客さんは、メジャーなインポートブランドでもない限り、シーズン当初に先買いするなんてことはない。トレンドセッターでさえ、シーズンインでじっくり買う時代である。
 先日、某有名ファッション通販サイトが幕張メッセで一般ユーザー向けの展示会を行った。この売上げは2日で1億5000万円。来場は1万人というから平均客単価は1万5000円になる。ただ、200社も出店した割にその程度の売上げだから、ファッションに敏感なヤングでさえ先買いはそれほど多くないと解釈できる。 専門店系マンションアパレルにとっては、期中のデザイン企画は一考かもしれない。
コメント
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