安倍政権が今年初めに閣議決定した緊急経済対策では、 地方でほとんどシャッター通りと化す「商店街の振興」にも、巨額の予算が投じられることになった。
商店街の活性化事業と言えば、行政や商工会議所が家賃補助を行う「空き店舗対策」、中学生を対象とした「就業体験」、高校生が店舗運営を行う「インターンシップ」、大学生に街としての機能を復活させる「グランドデザイン」等々、これまでいろんな施策が行われて来た。
しかし、どれをとっても場当たり的で、抜本的な対策にはならなかった。成功したのは、香川の丸亀商店街や大分の豊後高田くらいで、非常に少ない。何をやるにしても、資金を投下しなければ、実効性が伴わない。とどのつまりが、お国頼みしかないということだ。
安倍政権としても盤石な基盤を持つには、「地方の商業票」が不可欠だから、商業・商店街振興に大盤振る舞いをすることにしたようだ。では、その中身とはいかなるものか。
(1)商店街まちづくり事業…全国商店街振興組合連合会が補助金で「基金」をつくり、活用するもの。アーケードの改修、街路灯や防犯カメラの設置、高齢者向けの商売に補助される。 総額200億円の予算で、補助率は最大3分の2、補助額上限は1億5,000万円と巨額だ。
(2)地域商店街活性化事業…住民や団体との交流、子育て・介護のサービス、女性や若者のチャレンジ、情報発信(マップ作成、機関誌発刊、WEB掲載等)などのソフト事業。こちらも予算は総額100億円と巨額で、助成金ゆえに経費の100%が助成(上限400万円)される。
(3) 地域自立型買い物弱者対策支援事業費… 買い物弱者に対し、民間企業などが共同宅配や移動販売等を展開するもの。総額10億円の補助金、補助率3分の2だ。
(4) 中心市街地魅力発掘・創造支援事業費… まちの魅力を高めるための事業化調査、先導的・実証的な取り組み、専門人材の派遣に対する補助。総額15億円、上限1,000万円、補助率2分の1である。
以上の4つのプランだが、どれも従来の事業と変わりばえせず、予算規模が大きくなっただけに過ぎない。本当にこれらをやったからと言って、商店街にどれほど人がやって来て、賑わいを取り戻せると、言えるのだろうか。
従来と大きく変わらない事業ではお客は呼べない
まず、(1)は廃れる商店街はハード面が課題だから整備が必要。というのはわかるが、アーケードを改修したところで、買いたくなる商品がなければ、買い物客は来ない。高齢者のために若者や女性が商売をするための補助事業も、要は店づくりの域を出ていない。女性はともかく、若者が高齢者のための商売をどこまで真剣に考えているかは、不透明だ。
(4)の事業とも関係するが、高齢者が日常で求めているのは、何もファッション衣料ではない。まず食料品、いわゆる肉、魚、野菜といった生鮮三品、次ぎが医療・健康の病院や薬局(調剤)、3番目が趣味のジャンルになる。
生鮮といっても、商店街の近郊に農家があれば、道の駅的な店舗はできるだろう。でも、朝獲れの野菜は扱えても、肉や魚の流通は簡単ではない。あれほどコンビニが発展して、それらを扱わずレトルトの惣菜に舵を切ったのを見れば、説明がつく。生鮮はロスが出るし、回収に手間がかかるのだ。
病院や薬局についても、ニーズがあるかどうかだし、門前を嫌う薬剤師もいるから、出店やサービス提供は簡単ではない。まあ、車利用者にとっては、駐車場がないのが一番のネックだ。でも、この整備は補助金程度できる話ではない。
(2)はいろいろなことが書かれているが、要は商店街でイベントをやったり、プロモーションのツールを作ろうというもの。ただ、これは商工会が代理店に持ちかけて、企画をプレゼンさせるケースが多いと思われる。
しかし、今どき、廃れた商店街のマップや機関誌、WEBサイトで何を発信しようというのか。また、適当なコンテンツをでっち上げるのは目に見えている。それでは代理店や下請けの制作会社にカネが流れるだけだ。
結局、イベントを仕掛けようということに行きつく。ただ、人気ゆるキャラでも持っていれば、コストパフォーマンスのいい集客ができるかもしれないが、子供に人気の戦隊ショーやタレントのプロモは内容次第で週末に限られてしまう。平日に集客イベントを展開するのは、それほど簡単なことではない。
これから夏場になると「夜市」なんて企画も出てくるだろう。でも、それは確実に集客できる何かがあって、香具師や露天商も出店するのだから、その何か興しが難しいのだ。
(3)がいちばん現実的だと思う。商店街のハード整備し、ソフトを充実させたところで、周辺環境が変わり、高齢者が増える中、お客が来るという保証はない。だったら、商店街から出て行くという手の方が確実性はある。
足腰が弱り、車を持たないお年寄りは待ち望んでいるだろう。客が来ないから廃れるのか、廃れる商店街だから商売できないのか。でも、買う店がなければ、買い物弱者を生むのは当たり前。これは後ほど詳しく著述しよう。
そして(4) まちの魅力を高めるための事業化調査、先導的・実証的な取り組み、専門人材の派遣に対する補助。これも実態がよくわからない。コンサルタントに分厚いレポートを出させるためのプランでしかないようにも思える。
そこで、「ボランティアを活用しよう」なんて言われると、「お前らはカネもらっときながら、俺たちには無償でやらせるのかよ」と、突っ込みたくなる。
家賃補助で潤う地主、商売を知らない若者
地方の商店街が何かやらないと、廃れるばかりなのはわかる。しかし、商売の3条件は「人」「もの」「器」だ。今回の大盤振る舞いで、手当てできるのは器くらいだろう。
人とものについては、商店主が自己改革しないとダメなのだ。それができないから、店を誰かに貸そうということになってしまう。でも、行政に泣きついて自分たちの家賃収入は確保しようというのも、ずいぶん虫が良過ぎる話だ。
今どき、20坪程度のスペースが坪数万円、敷金24ヵ月もかかる条件で、商売がペイするはずがない。これではいくら新規参入者が出店しようとしても、初期投資やイニシャルコストにばかり頭が奪われ、ビジネスモデルも、MDもあったものではない。
家賃補助があるうちは何とか店舗は開店していられるが、切られた途端に閉店の憂き目にあってしまう。つまり、ビジネスとしては成り立ってはいないのだ。 今はネット通販がそれに拍車をかける。 結局、「テナント募集」の張り紙が風に揺れるシャッター通りに舞い戻ってしまう。
そんな時代に行政が掲げる「商業・商店街振興策」がどれほどの効果を発揮するのだろうか。周辺は人口がどんどん減少し、高齢化している。潜在買い物客が商店街をペイさせるほどの規模があるとは思えない。
コンサルタントの中には、都会で夢破れ就職できない若者を呼び、1階が店舗、2階は住まいにして「町家コミュニティ」を作る手がある。そんなことを平気で宣う方々がいらっしゃる。
それこそ、「国が若者の人生設計に介入する気か」と、これ見よがしに言い出す政治家がいそうだが、 そんな方々ほど若者の実態をご存じなのだろうか。
今日の若者は、コミュニケーションやテクニックを必要とする「販売」は嫌。売上げや利益といった数字を理解する「経営」なんかに興味無し。それで、だいたい共通している。
さらに好きなブランドやアイテムを扱い、自分の好きな店づくりはやりたいが、それがゴールだと勘違いしている。だから周囲も気にせず店頭で喋りながら、ただ暇をつぶすだけだ。
商売、商店経営の基本原理なんか、小難しいものとして向き合おうとはしない。それより、都会のメディア文化に包まれてずっと生きたい、寄らば大樹の陰で大企業で働きたい若者の方がはるかに多い。だから、簡単にUターンするとも思えないのだ。
まして、欲の皮が突っ張った店舗オーナーが、商店街存続のために先祖代々の店を明け渡すはずはないだろう。
商店主が「人」と「もの」で、売りに出ていく番
結局、既存の商店主が立ち上がるしかない。そのカギが「人」と「もの」である。多少のハード整備をしても、五月雨的なイベントを展開しても、持続的に集客なんてできない。お客が来なければ、人もものも生かせないのである。
であれば、こちらから出て行くべきだ。いわゆる外商である。いくらネット通販が浸透したといっても、最大のネックは「試すこと」ができないことだ。
ファッションの場合、高級品になると、試着無しで買うのは若者でも二の足を踏むはず。数千円もかかる宅配返品料さえ、ケチっしまう。そんな買い物文化のレベルなのだ。ネット通販とは。
だからこそ、高級品を売る店は、売りに出かけるのである。中古のワゴンRなんかを改造して、オシャレなセールスカーに作り替える。派手なカラリングと目立つロゴは、ラッピングで簡単にできる。パリやNYを走っている花屋のヴィーグルのイメージだ。
高齢者だってオシャレをしたいときはある。それは1年に一度かもしれない。でも、孫の結婚式に出るのに高価なスーツを着てもいいだろう。そんなマーケットを外商で掘り起こすのである。慣れてくれば、デイリーウエアや下着を扱ってもいい。
さらに進めば、他店の商品についても、ご用聞きをすることはできる。まずは高い荒利がとれる高級専門店がビジネスモデルを作らないと、ソフト事業にはならない。こういう仕掛けがコンテンツなのだから、マップや機関誌、サイトに載せるネタにもなる。
外商をしないときは、商店街の通路にとめてDJブースにし、街のスピーカーを通して音楽や情報を流せばいい。 商店街単位でいえば、中型のバスなんかで外販車を作れないことはない。これなら、生鮮品から日用雑貨まですべて網羅できる。
しかし、それには街全体の意識統一が必要になるし、商売内容で温度差が生じるから容易なことではない。また、どこまでが(3)の事業の対象となるかは、不明確だ。
NPOかなんかを作れば補助されるかもしれないが、個店でも車に商店街の名前を入れるなどやり方はいくらでもあるだろう。
アーケード整備しても、空き店舗をコミュニティの場所にしても、待ちの姿勢ではお客は来ない。中学生の就業体験なんかやっても、潤うのはせいぜい昼食用の仕出し弁当屋だけだ。
魚屋が捌き方を教えようとしても、わがままな女子学生に「手が臭くなるから嫌」と言われるの落ち。後は店頭で記念のピースサインを写メに撮って終わりだ。
商店街の振興事業なんて言っても、これまでもそんな程度だった。今回のプランでも、結果は大して変わらないのは、予測がつく。
だからこそ、どこかが立ち上がらないいけない。人とものを活用しなければならない。商店街の歴史、日本のファッションの栄枯盛衰とともに歩んで来た老舗ブティック、高級専門店が商店街の振興で果たす役割は大きいと思う。
商店街の活性化事業と言えば、行政や商工会議所が家賃補助を行う「空き店舗対策」、中学生を対象とした「就業体験」、高校生が店舗運営を行う「インターンシップ」、大学生に街としての機能を復活させる「グランドデザイン」等々、これまでいろんな施策が行われて来た。
しかし、どれをとっても場当たり的で、抜本的な対策にはならなかった。成功したのは、香川の丸亀商店街や大分の豊後高田くらいで、非常に少ない。何をやるにしても、資金を投下しなければ、実効性が伴わない。とどのつまりが、お国頼みしかないということだ。
安倍政権としても盤石な基盤を持つには、「地方の商業票」が不可欠だから、商業・商店街振興に大盤振る舞いをすることにしたようだ。では、その中身とはいかなるものか。
(1)商店街まちづくり事業…全国商店街振興組合連合会が補助金で「基金」をつくり、活用するもの。アーケードの改修、街路灯や防犯カメラの設置、高齢者向けの商売に補助される。 総額200億円の予算で、補助率は最大3分の2、補助額上限は1億5,000万円と巨額だ。
(2)地域商店街活性化事業…住民や団体との交流、子育て・介護のサービス、女性や若者のチャレンジ、情報発信(マップ作成、機関誌発刊、WEB掲載等)などのソフト事業。こちらも予算は総額100億円と巨額で、助成金ゆえに経費の100%が助成(上限400万円)される。
(3) 地域自立型買い物弱者対策支援事業費… 買い物弱者に対し、民間企業などが共同宅配や移動販売等を展開するもの。総額10億円の補助金、補助率3分の2だ。
(4) 中心市街地魅力発掘・創造支援事業費… まちの魅力を高めるための事業化調査、先導的・実証的な取り組み、専門人材の派遣に対する補助。総額15億円、上限1,000万円、補助率2分の1である。
以上の4つのプランだが、どれも従来の事業と変わりばえせず、予算規模が大きくなっただけに過ぎない。本当にこれらをやったからと言って、商店街にどれほど人がやって来て、賑わいを取り戻せると、言えるのだろうか。
従来と大きく変わらない事業ではお客は呼べない
まず、(1)は廃れる商店街はハード面が課題だから整備が必要。というのはわかるが、アーケードを改修したところで、買いたくなる商品がなければ、買い物客は来ない。高齢者のために若者や女性が商売をするための補助事業も、要は店づくりの域を出ていない。女性はともかく、若者が高齢者のための商売をどこまで真剣に考えているかは、不透明だ。
(4)の事業とも関係するが、高齢者が日常で求めているのは、何もファッション衣料ではない。まず食料品、いわゆる肉、魚、野菜といった生鮮三品、次ぎが医療・健康の病院や薬局(調剤)、3番目が趣味のジャンルになる。
生鮮といっても、商店街の近郊に農家があれば、道の駅的な店舗はできるだろう。でも、朝獲れの野菜は扱えても、肉や魚の流通は簡単ではない。あれほどコンビニが発展して、それらを扱わずレトルトの惣菜に舵を切ったのを見れば、説明がつく。生鮮はロスが出るし、回収に手間がかかるのだ。
病院や薬局についても、ニーズがあるかどうかだし、門前を嫌う薬剤師もいるから、出店やサービス提供は簡単ではない。まあ、車利用者にとっては、駐車場がないのが一番のネックだ。でも、この整備は補助金程度できる話ではない。
(2)はいろいろなことが書かれているが、要は商店街でイベントをやったり、プロモーションのツールを作ろうというもの。ただ、これは商工会が代理店に持ちかけて、企画をプレゼンさせるケースが多いと思われる。
しかし、今どき、廃れた商店街のマップや機関誌、WEBサイトで何を発信しようというのか。また、適当なコンテンツをでっち上げるのは目に見えている。それでは代理店や下請けの制作会社にカネが流れるだけだ。
結局、イベントを仕掛けようということに行きつく。ただ、人気ゆるキャラでも持っていれば、コストパフォーマンスのいい集客ができるかもしれないが、子供に人気の戦隊ショーやタレントのプロモは内容次第で週末に限られてしまう。平日に集客イベントを展開するのは、それほど簡単なことではない。
これから夏場になると「夜市」なんて企画も出てくるだろう。でも、それは確実に集客できる何かがあって、香具師や露天商も出店するのだから、その何か興しが難しいのだ。
(3)がいちばん現実的だと思う。商店街のハード整備し、ソフトを充実させたところで、周辺環境が変わり、高齢者が増える中、お客が来るという保証はない。だったら、商店街から出て行くという手の方が確実性はある。
足腰が弱り、車を持たないお年寄りは待ち望んでいるだろう。客が来ないから廃れるのか、廃れる商店街だから商売できないのか。でも、買う店がなければ、買い物弱者を生むのは当たり前。これは後ほど詳しく著述しよう。
そして(4) まちの魅力を高めるための事業化調査、先導的・実証的な取り組み、専門人材の派遣に対する補助。これも実態がよくわからない。コンサルタントに分厚いレポートを出させるためのプランでしかないようにも思える。
そこで、「ボランティアを活用しよう」なんて言われると、「お前らはカネもらっときながら、俺たちには無償でやらせるのかよ」と、突っ込みたくなる。
家賃補助で潤う地主、商売を知らない若者
地方の商店街が何かやらないと、廃れるばかりなのはわかる。しかし、商売の3条件は「人」「もの」「器」だ。今回の大盤振る舞いで、手当てできるのは器くらいだろう。
人とものについては、商店主が自己改革しないとダメなのだ。それができないから、店を誰かに貸そうということになってしまう。でも、行政に泣きついて自分たちの家賃収入は確保しようというのも、ずいぶん虫が良過ぎる話だ。
今どき、20坪程度のスペースが坪数万円、敷金24ヵ月もかかる条件で、商売がペイするはずがない。これではいくら新規参入者が出店しようとしても、初期投資やイニシャルコストにばかり頭が奪われ、ビジネスモデルも、MDもあったものではない。
家賃補助があるうちは何とか店舗は開店していられるが、切られた途端に閉店の憂き目にあってしまう。つまり、ビジネスとしては成り立ってはいないのだ。 今はネット通販がそれに拍車をかける。 結局、「テナント募集」の張り紙が風に揺れるシャッター通りに舞い戻ってしまう。
そんな時代に行政が掲げる「商業・商店街振興策」がどれほどの効果を発揮するのだろうか。周辺は人口がどんどん減少し、高齢化している。潜在買い物客が商店街をペイさせるほどの規模があるとは思えない。
コンサルタントの中には、都会で夢破れ就職できない若者を呼び、1階が店舗、2階は住まいにして「町家コミュニティ」を作る手がある。そんなことを平気で宣う方々がいらっしゃる。
それこそ、「国が若者の人生設計に介入する気か」と、これ見よがしに言い出す政治家がいそうだが、 そんな方々ほど若者の実態をご存じなのだろうか。
今日の若者は、コミュニケーションやテクニックを必要とする「販売」は嫌。売上げや利益といった数字を理解する「経営」なんかに興味無し。それで、だいたい共通している。
さらに好きなブランドやアイテムを扱い、自分の好きな店づくりはやりたいが、それがゴールだと勘違いしている。だから周囲も気にせず店頭で喋りながら、ただ暇をつぶすだけだ。
商売、商店経営の基本原理なんか、小難しいものとして向き合おうとはしない。それより、都会のメディア文化に包まれてずっと生きたい、寄らば大樹の陰で大企業で働きたい若者の方がはるかに多い。だから、簡単にUターンするとも思えないのだ。
まして、欲の皮が突っ張った店舗オーナーが、商店街存続のために先祖代々の店を明け渡すはずはないだろう。
商店主が「人」と「もの」で、売りに出ていく番
結局、既存の商店主が立ち上がるしかない。そのカギが「人」と「もの」である。多少のハード整備をしても、五月雨的なイベントを展開しても、持続的に集客なんてできない。お客が来なければ、人もものも生かせないのである。
であれば、こちらから出て行くべきだ。いわゆる外商である。いくらネット通販が浸透したといっても、最大のネックは「試すこと」ができないことだ。
ファッションの場合、高級品になると、試着無しで買うのは若者でも二の足を踏むはず。数千円もかかる宅配返品料さえ、ケチっしまう。そんな買い物文化のレベルなのだ。ネット通販とは。
だからこそ、高級品を売る店は、売りに出かけるのである。中古のワゴンRなんかを改造して、オシャレなセールスカーに作り替える。派手なカラリングと目立つロゴは、ラッピングで簡単にできる。パリやNYを走っている花屋のヴィーグルのイメージだ。
高齢者だってオシャレをしたいときはある。それは1年に一度かもしれない。でも、孫の結婚式に出るのに高価なスーツを着てもいいだろう。そんなマーケットを外商で掘り起こすのである。慣れてくれば、デイリーウエアや下着を扱ってもいい。
さらに進めば、他店の商品についても、ご用聞きをすることはできる。まずは高い荒利がとれる高級専門店がビジネスモデルを作らないと、ソフト事業にはならない。こういう仕掛けがコンテンツなのだから、マップや機関誌、サイトに載せるネタにもなる。
外商をしないときは、商店街の通路にとめてDJブースにし、街のスピーカーを通して音楽や情報を流せばいい。 商店街単位でいえば、中型のバスなんかで外販車を作れないことはない。これなら、生鮮品から日用雑貨まですべて網羅できる。
しかし、それには街全体の意識統一が必要になるし、商売内容で温度差が生じるから容易なことではない。また、どこまでが(3)の事業の対象となるかは、不明確だ。
NPOかなんかを作れば補助されるかもしれないが、個店でも車に商店街の名前を入れるなどやり方はいくらでもあるだろう。
アーケード整備しても、空き店舗をコミュニティの場所にしても、待ちの姿勢ではお客は来ない。中学生の就業体験なんかやっても、潤うのはせいぜい昼食用の仕出し弁当屋だけだ。
魚屋が捌き方を教えようとしても、わがままな女子学生に「手が臭くなるから嫌」と言われるの落ち。後は店頭で記念のピースサインを写メに撮って終わりだ。
商店街の振興事業なんて言っても、これまでもそんな程度だった。今回のプランでも、結果は大して変わらないのは、予測がつく。
だからこそ、どこかが立ち上がらないいけない。人とものを活用しなければならない。商店街の歴史、日本のファッションの栄枯盛衰とともに歩んで来た老舗ブティック、高級専門店が商店街の振興で果たす役割は大きいと思う。