日々のこと

可もなく不可もなく

『背表紙は歌う』-大崎 梢-

2013-05-26 21:38:50 | 映画DVD&本
久しぶりに、書店関係が舞台の大崎梢の本

中堅どころの老舗出版社に勤める営業マン、井辻智樹の業務日誌シリーズ
『平台がおまちかね』に続く第2弾



5編からなるミステリー

ミステリーと言っても、小さな疑問それもごく日常的なはてな?がミステリーに

1編目は、初対面の取次会社社員に、とんでもない暴言で声をかけられた事。
彼が何故「売れない本を、ちまちま作るんじゃねーよ!」なんて事を名刺交換もしないうちから言うのか?
(出版社と書店との間に取次会社が存在するという事を、ワタシは初めて知った。)

2編目は、新刊を出す作家が、書店を回って実際の本にサインして歩く。
そのうちの1店に同級生だという男性書店員が是非会いたいと待っている。その書店員は何者?
(サイン本がどんなふうに作られるのかが興味深い。)

3編目は、他社の営業職の女性が以前書店員として生活していた、ある地方の小さな書店での経営難の噂。
経営難に追い込まれている原因が・・・・・・?

4編目は、有名な賞のノミネート作品が発表された翌日から、みょうな噂が書店の間で流れ、作家たちの耳にも入る。その噂の元は?
ノミネートされた本の、出版社やその作家担当編集者たち、そして当の作家たちの、受賞者が決まるまでの心理的な動きや、受賞した場合そして選に漏れた場合の段取りなど、裏側が面白い。
(芥川賞や直木賞もこんな感じ?)

5編目は、なぞなぞを解くお話。『配達あかずきん』の成風堂が関わってくる。
(新刊の販促が面白い)


『全ての人に捧げるハートフル・ミステリー』と表紙の裏に書いてあるように、内容が優しくて大崎梢さんの本は良いですね^^
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