現在も岸和田には2軒の酒蔵さんがあります。
まず、最初に訪れたのは、「三輪福」を基本ブランドとする井坂酒造さん。約180年の歴史を持ち、現在の蔵主 井坂佳嗣さんで10代目になられます。酒作りの使われる水は、和泉山系の伏流水(中水)を水源とする井戸水で、手掘りで作られた石垣の井戸の深さは13m。約9mの深さから汲み上げる井戸水は、通年を通して水位が保たれ一度も枯れたことがないそうです。杜氏には但馬杜氏を迎え、後継者の息子さんは初め、ピークの時には佳嗣さんも参加して酒作りだそうです。
井坂酒造さんでは、純米酒をメインにし、大吟醸・吟醸酒は袋絞りを行い、吟醸酒に使われる醸造アルコールも米から作られたものを使用しておられるそうです。広く作られた麹室や各作業への動線がすごく整理整頓されていたのが印象的。その中でも特に個性的なところが貯蔵庫。低温の温度管理を行っておられる酒蔵さんが多い中で、井坂酒造さんは天窓と地窓による風を通しての温度管理。これは、昔から作られてきたお酒作りの環境を変えることなく、昔ながら気候の変化で貯蔵されたの酒の味を大切に大切にしたいと思う気持ちからだそうです。(やはり歴史のある酒蔵さんですので、高い天井や土塀・断熱材などにより急激な温度の変化はありません。なので、このような貯蔵の仕方が可能なのです。)
蔵主の井坂佳嗣さんにお伺いした井坂酒造さんの酒作りの特長として、酒作りで一番大切とされる麹を作る前からの準備を大切にすること。それは米選びや米の浸漬など。基本的なことから大切にすることにより、良いお酒作りに繋がるとのこと。また、酒作りに関して心掛けていることとして、「至誠通天(しせいつうてんー志を持ってこつこつと人・物事に対処していけば成就するの意。)」を答えられ、原点に戻った、しっかりとしたお酒作りを心掛けておられます。
試飲させて頂いたお酒たちです。大吟醸は、やはりとてもフルーティーでした。全体的な特長として、濃醇でやや甘口。しっかりとお米の香りや風味を感じる旨みの濃いお酒です。少しこってりとした煮つけや金平なんかと相性が良いかもしれませんね。また、地元岸和田で収穫された秋田小町で作られた純米酒「葛葉井の淵」も、後口がすごく良くてなかなか個性のあるお酒でオススですね。
昔から祭りのあるところは文化がある、と言われます。岸和田の名物のだんじり祭りも、このような文化・地元を大切に思う人々の下支えから生まれるのでしょうね。
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