途中までは順調過ぎる程、上手く進む講演。
緊張していないようでも、実は前兆がありました。
ホテル到着後、眼鏡からコンタクトに変える。どうも違和感があるので再び外そうとした時、大きく跳ねてどこに行ったか判らなくなってしまった。時間も無いし、自宅に予備があるので、そんなに気落ちはしなかったがなんとなく嫌な感じ。
マイクが拾った「ゴトッ」とグラスが倒れる音に、一瞬会場に変な間と空気が流れる。卓上は水浸し。大切な進行用のレジュメも霞んでしまった。スタッフの方がこちらに向かおうとするのが見えて、私は平然を装い、何事も無かったように話を進める。
この時点で時間の半分が過ぎていたと思う。ここから暫くは、それまでの勢いで話が進む。そろそろ話をまとめにかかる時間になってきた。ここで、あることに気がつく。講演前の総会が長引いて、時間がずれ込んでいたのを忘れていて、正確な講演開始時間を確認していなかったのだ。
仕事柄、体内時計の正確さには多少の自信がある。自身の感覚として、そろそろ1時間過ぎる頃だ。そう思った矢先に、スタッフの方に動きが。間違いない、話をまとめて、この講演で自分が伝えたかったことを最後に明言しないと。
「これからは消費者の方の意識改革も大切です。生産者の方は、一生懸命作った野菜がどのように・どのような方に消費されるかまで見守ってください。そして、時には思いを伝えてください。」
「私はようやく料理人という仕事に生き甲斐を見出せました。それは生産者と消費者を料理を通じて結びつけることが出来るからです。料理を食べてくださる方に物だけでなく、思いも一緒に伝えることが出来る料理人になれるように頑張ります。そして、作る側と食べる側の距離を縮めたい。すぐにお応えは出ませんが、どうか皆さんのお力をお貸しください。」
前半の好調さが嘘のように、後半は支離滅裂な内容。とにかく、話しきることは出来た。終わったのだ。終わった瞬間のことはあまり良く覚えていませんが、たくさんの拍手を頂いた事だけはわかりました。どうやら講演の良し悪しは別としても、思いは伝わったようである。いつもは文句言いのご意見番の方にも共感頂いたそうで、周りの人からもそのことが今回の講演の成功を象徴することを教えて頂きました。
講演後、いろんな方とご挨拶をさせて頂いた。中には丸山光代さん著の「食卓の健康手帳」の直筆サイン入り本を「こらからも頑張ってください。」という激励と共にくださる方もおられた。農塾でお世話になった能勢の農家さんには料理人よりこっちの方が向いてるよ、と冷やかされました。
後日、スタッフの方から、「とても熱い想いを語ってくださりありがとうございました。私たち有機の古漬けのようなオバサンたちが昔感動したのと同じ感動を、若い森田さんが感動されたのだと、また、同じようなところでワクワクされたことに真理の普遍性を感じました。私たちに出来る事があれば、いつでもおっしゃってください。また、私たちの活動にも応援をお願いいたします。 」というメールを頂きました。
大変だったけど、引き受けて良かった。今までの自分の活動を振り返ることが出来たし、またこれから頑張る目標も改めて再確認出来ました。
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